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今年のセンバツを盛り上げるのは!?
出場校と注目の35選手を一挙紹介!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/01/24 18:10
昨年11月の神宮大会で3本塁打を放った日本文理の飯塚悟史。投手としては課題を残したが、スケールの大きい打撃は要注目だ。
優勝争いは、神宮大会出場校中心か。
選抜の前哨戦とも言えるのが昨年11月に行われた明治神宮大会。'05~'08年までは同大会の優勝、準優勝校が選抜になると力を発揮できず早いうちに姿を消していたこともあり、前哨戦と位置づけるのに無理があったが、'09年以降は、'11年優勝校の光星学院が翌春の選抜で準優勝、'09、'10年優勝校の大垣日大、日大三も選抜4強に進出するなど好結果を出しているので前哨戦と見ることに違和感はない。
明治神宮大会決勝は沖縄尚学と日本文理の間で繰り広げられた。0対8とリードされた沖縄尚学が7回裏に3点入れ、8回には打者11人を送り込む猛攻で6点を奪い、あっという間の逆転劇を演じたことは記憶に新しい。
沖縄尚学で注目されるのは久保柊人。初戦の関東一戦では2番・右翼手でスタメンに入り、0対3でリードされた4回裏にリリーフ登板した。174センチと上背がないこともあり、マウンドに上がった当初は気にも留めなかったが、投げ始めるとイメージが一変。とにかく腕が振れるのだ。128キロ程度のチェンジアップでも、110キロ前後のカーブでも腕が振れる。
秋・春連覇の期待がかかる沖縄尚学。
ストレートは最速143キロに達し、3回までに3点を挙げていた強打線を2安打、無失点に封じた。久保以外にもノーラン・ライアンに似たフォームが話題になった山城大智(投手)、強打の安里健(三塁手)などタレントが揃い、'01年の報徳学園以来の秋・春連覇をめざす。
準優勝の日本文理を牽引するのは前にも書いたように投でも打でも中心の飯塚。明治神宮大会決勝では9番・投手としてスタメン出場し、第2打席で山城大からライトポール際へ大きなホームランを放ち、続く第3打席では久保が投じた134キロの低めストレートを捉え、バックスクリーンを越える特大のホームランを放っている。
「特大の」と簡単に書いたが、神宮球場バックスクリーンの看板を越えていき、推定距離は135メートル。長く記憶に残る打球だと思う。
投手としての評価も高く、この試合ではストレートが最速139キロを記録し、変化球は小さく斜めに落ちるスライダーのキレがいい。7、8回に9点を奪われているように、気の緩みが数少ない不安材料である。