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今年の選抜は本命不在で“混戦”か!?
初戦の好カードと注目選手総まとめ!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/03/19 10:30
3月14日に行なわれた組み合わせ抽選会で対戦が決まった、智弁和歌山・長壱成主将(左)と明徳義塾・岸潤一郎主将。4日目(24日予定)の第3試合、優勝候補同士が激突する。
3月21日に開幕する第86回選抜大会の8強進出予想がなかなか難しい。選抜の特徴は守備主体のチームが上位に進出することである。'08年以降、絶対的なエースを擁するチームが覇権を握っていることでもそれはわかる。
'08年=沖縄尚学/東浜巨(亜細亜大→ソフトバンク)、'09年=清峰/今村猛(広島)、'10年=興南/島袋洋奨(中央大)、'12年=大阪桐蔭/藤浪晋太郎(阪神)、'13年=浦和学院/小島和哉(在学)
'11年優勝の東海大相模は3人の投手を使い分けているがチーム防御率は準優勝校、九州国際大付の3点を大きく下回る1.80だった。これらのことを踏まえ、準々決勝の8校がどういう顔ぶれになるのか予想していこう。
Aブロックの注目カードは履正社vs.小山台。
初日の第1試合から3日目の第2試合までに出場する16校をAブロック、3日目の第3試合から1回戦最後の6日目の第1試合までに出場する16校をBブロックとする。まず、対戦相手が決まっている1回戦の中で注目カードを見ていこう。
Aブロックでは初日第3試合の小山台対履正社が面白そうだ。履正社は昨秋の近畿大会、エースの溝田悠人(2年)が1回戦・海南を1失点完投、準々決勝・三田松聖を5安打完封に抑えているように、「選抜で勝つ条件」の投手力を備えている。溝田以外にも188センチの長身から145km以上のストレートを投げ込む永谷暢章(2年)がいて、チーム防御率1.33は参加校中2位という高いレベル。
対する小山台はエース、伊藤優輔(3年)が頼みの綱だ。彼はとにもかくにも、欠点を指摘するのが困難なほど投球フォームがいい。テークバック時も投げに行くときもヒジの位置が高く、これらの動きが体の陰で行われているので腕の出どころが打者から見えづらいというのが最大の長所。ストレートの最速は140km前後で打者を圧倒する速さはないが、ひと冬越して下半身の強化ができていれば元々の投球フォームのよさに球の速さが加わるので、大物食いの可能性が出てくる。