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大型補強以上に勝敗を分ける“心”。
SB・松田宣浩が苦言に込めた真意。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNaoya Sanuki

posted2014/01/21 10:40

大型補強以上に勝敗を分ける“心”。SB・松田宣浩が苦言に込めた真意。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

30歳を迎え、選手会長にも就任。名実ともにソフトバンクの中心となった松田宣浩は、率先してチーム内の競争に飛び込む気合を見せた。

松田が求める「戦う姿勢」を体現した楽天の結束力。

 チーム打率2割7分4厘、660得点、125本塁打は全てリーグトップ。一方で投手陣は、同4位の防御率3.56と振るわなかった。

 とはいえ、投手陣が敗因の根幹ではない。抑えた試合では打てない。打った試合では大量失点する。投打がかみ合い切れなかった。それが全てだった。

 裏を返せば、そこさえ改善できれば勝てる、というわけだ。だからこそフロントは大型補強を敢行した。それは間違いない。ただ、覇権を奪回するためには、戦力以外の要素が必要だ、と松田は言う。

「一番怖いのは、『戦力が整っているから勝って当たり前』という気持ち。勝てる戦力だからこそ、ただ野球をやるんじゃなくて12球団で一番声を出したり元気を出す。負けている時でも“空元気”でいいから出す。去年の楽天がそうだったじゃないですか。チームとして試合を重ねる度に、ひとりだけじゃなく全員で束になって向かってきていましたから。僕らも『楽天は強い』と思うようになったし、実際に敵いませんでしたからね。そういった戦う姿勢も優勝するためには重要なんです」

「断る理由がない」と二つ返事で選手会長を引き受けた。

 松田が言うように、昨季の楽天は強固な一枚岩となって戦っていた。

 選手会長の嶋基宏を筆頭とし、新加入のジョーンズやマギーといった助っ人も声を出し、選手を鼓舞する。「俺たちは負けていない」。いつしか、チーム全体に「まだまだ行ける」といった前向きなマインドが浸透し、そして、球団初のリーグ制覇と日本一を力で勝ち取った。

 常勝軍団と謳われるようになってから久しいソフトバンクにとって、2年連続で優勝を逃したことは屈辱である。しかし昨季、楽天が勝利の条件を自分たちに示してくれた。これまでも、ムードメーカーとしてチームを牽引してきた松田が触発されないわけがない。

 そう考えれば、松中信彦から「お前が選手会長をやってみろ」と促されたのも、あるいは必然だったのだろう。松田自身、「断る理由がない」と二つ返事で大役を引き受けた。

 もちろん「不安はある」という。

 それでも、自分にとっての選手会長像はすでに出来上がっているようだ。

【次ページ】 自分自身が試合に出続けることでチームを刺激する。

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