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大型補強以上に勝敗を分ける“心”。
SB・松田宣浩が苦言に込めた真意。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNaoya Sanuki

posted2014/01/21 10:40

大型補強以上に勝敗を分ける“心”。SB・松田宣浩が苦言に込めた真意。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

30歳を迎え、選手会長にも就任。名実ともにソフトバンクの中心となった松田宣浩は、率先してチーム内の競争に飛び込む気合を見せた。

「あれはなんていうか、ぼそっと言っただけなんですけどね」

 昨年11月にソフトバンクの新選手会長に就任した松田宣浩は、目をぱちぱちと瞬かせながら、バツが悪そうにつぶやいた。

 12月の選手総会で松田は、球団に対して苦言とも取れる発言をしていたのだ。

「(自分たちが)優勝できなかったのが一番悪いですけど、生え抜き選手のモチベーションの意味でもバランスを考えてほしいです」

 この言葉が指しているもの。それは、言うまでもなく球団が敢行した大補強だ。

 2年総額9億円プラス出来高払いで契約を結んだ李大浩を筆頭に、スタンリッジ、ウルフ、サファテと日本で実績を挙げた外国人選手を軒並み獲得。国内選手もFAの中田賢一と鶴岡慎也を口説き落とした。その他にも、メジャー再挑戦のため'13年に渡米した岡島秀樹を復帰させ、右の大砲として新外国人のカニザレスも招き入れた。

 長距離砲に先発、中継ぎ、捕手。補強としては的確である。しかしながら、30億円を超えるとも言われる巨額な投資は、「育成重視」となった現代のプロ野球界の定説から論じればナンセンスなのかもしれない。

「補強したから試合に出られない」と諦めたら、アウト。

 ただ、ベンチで声を張り上げるなど絶えずチームのことを考えプレーする松田が、感情だけで球団に物言いするわけがない。ソフトバンクのムードメーカーは、あの苦言の真意をしっかりと説明してくれた。

「2年間、優勝していませんからね。球団としても『何とかしたい』とチームを思ってやってくれたことなので、個人的に補強は大歓迎です。あの発言は、選手会長として若手からベテラン、チームの意見として言わせてもらったというか。野球選手にとって優勝すること、その瞬間にグラウンドに立っていることが全てですから、本気で反論する人間はいないと思います。『大補強をしたから自分は試合に出られない』とシーズンが始まる前から諦めているようでは、そこでアウトだと思うんで。野球選手でいる以上、常に競争。その気持ちは忘れちゃいけませんからね」

【次ページ】 優勝候補の大本命と目された昨季は終盤に失速した。

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