ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
9の名言で振り返る’13年男子ツアー。
「濃い」言葉が、ゴルフの魅力の1つ。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2014/01/02 08:01
2013年の日本男子ゴルフを締めくくったのは、宮里優作。妹の宮里藍と両親が見守るなかで成し遂げた、プロ11年目での悲願の初優勝に会場中が盛り上がった。
「日本ツアーは甘い」という苦言の真の意味。
●8月 大堀裕次郎 「まだ遠い存在。いつか追いつき、追い越したい」
今季の日本ツアーには、トーナメントが行なわれない6週間の“夏休み”があった。長いオープンウィーク明けの8月、灼熱の関西オープンで2日目を終えて単独首位に立つ活躍を見せたのが、こちらはホントに夏休み中の大学生アマチュア、大堀裕次郎だった。
細身ながら300ヤード超を誇るドライバーショットが魅力の22歳(当時21歳)。そう、松山、石川と同学年のスター候補である。彼ら2人に続くアマチュアでのツアー優勝は果たせなかったが、「まだ遠い存在」の彼らが手にすることのできなかった日本アマのタイトルを持って、12月にプロ転向した。
●9月 横尾要 「日本ツアーは甘い」
フジサンケイクラシックで最終日最終組を戦った横尾が、吐き捨てた。
ラウンド直後「負けた言い訳になるから…」と一度はコメントするのを拒みかけたが、やっぱり言わずにはいられない。同組でラウンドした松山英樹とS.J.パクのスロープレー。怒りの矛先は彼らに罰を下さない、競技委員に向けられた。
1カ月半前には全英オープン3日目に松山がスロープレーを理由に、ペナルティを受けていた。イギリスでの一件は新参者の若者を“狙い撃ち”したような不可解な罰ではあったが、米ツアー参戦経験がある横尾は「アメリカだったらすぐに罰金でしょう。これだから、彼らが世界で恥をかく」と、世界基準の振る舞いをツアーに求めた。選手の成長のためには、環境のレベル向上もやっぱり欠かせない。
●10月 池田勇太 「やるって言ったからには、言い訳にはしたくない」
史上最年少、27歳にして日本男子ツアーの選手会長に就任。スケジュール帳はトーナメントを支援する財界人たちとの約束でいっぱい、新調したシングルのビジネススーツの数は「両手じゃ足りない」という。試合の合間を縫って全国を奔走した一年となった。
積極的な活動の代償は大きく、ようやく1勝を挙げたのは10月末のマイナビABC選手権。苦労を振り返れば、大役も「引き受けなきゃよかった? そう思うことは何回もあった」と言う。しかし「ちゃんとやってきたから神様がご褒美をくれたのかもしれない」とも。
ちなみに「まとまったオフができたら、何がしたい?」との質問には「そうだなあ……あったかいところに行って、プライベートでゴルフでもしたいなあ」とポツリ。ゴルフ漬けの毎日から抜け出しても、やっぱりクラブを握りたい。ゴルファーとしての性がにじみ出た。