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中西理事が語るJリーグの“懐事情”。
世界とアジアの市場に宣戦布告!
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph byKyozo Hibino
posted2013/12/06 10:30
Jリーグが世界と伍していくためのステップを教えてくれた中西大介理事。
アジアでは1位、しかし欧州に目を向けると……。
中西 ただサッカーの場合は、マクロ、すなわち世界との比較という視点で考える必要があります。まずアジアで見ると、このデータ(表2)から分かる通り、Jリーグは最もビジネス的に成功しているリーグだと言えます。クラブごとの売上規模で見ても、アジアをリードする立場であることは間違いありません。
並木 確かに。リーグビジネスはしっかりと成立している、ということですね。
中西 ところがヨーロッパに目を向けると、ご覧の通り(表3)。
並木 プレミア2500億ですか! Jリーグのざっと20倍……。
中西 何でこういう数字になるかと言えば、大半は放映権料。例えばプレミアは世界200カ国以上で放映権が売られています。実は、そのうちの65%を占めているのがアジアのマネーなんです。
つまり、本来はアジア各国のリーグが発展するために使われるべきカネがヨーロッパに流出しているわけですね。カネが流れ込んでくるから、良い選手も集まって「世界選抜vs.世界選抜」の様相が生まれ、人気もさらに高くなる。そうやってヨーロッパの一部のリーグだけがどんどん肥大化する一方で、アジアのリーグ規模は膨らんでいかない。そうした状況を打破するために、Jリーグが取り組んでいるのが「アジア戦略」です。