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<各国記者、勝手に座談会> 2014年W杯優勝はココ
text by
鈴木英寿Hidetoshi Suzuki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/11/29 06:01
アルゼンチンは……まず監督が良くなった(笑)。
パブロ 私は長い間、スペイン語圏のサッカーを取材してきた。前回大会から比較すると、現在のアルゼンチンはすさまじい進化を遂げているんだ。
カルロス まず監督が良くなった(笑)。
パブロ その通り。2010年南アフリカW杯のマラドーナよりも、現在のサベージャのほうが、はるかに理論的で、戦術面でも優れた指導者だ。それに、攻撃陣の充実も見逃せない。メッシ、アグエロ、ディマリア、イグアインの4人は今大会屈指のハーモニーと爆発力を兼ね備えている。スペインよりも、攻撃力は“上”だね。
ティム 開催国ブラジルももう少し褒めてあげてよ。
パブロ 確かに素晴らしい選手はいるけど、ホームで開催することが、かえってプレッシャーになってしまうような気がするんだ。
ティム ウルグアイの後塵を拝した前回のブラジル大会(1950年)がまさしくそうだったよね。
ブラジルの強みはネイマールよりも強固な守備陣。
カルロス 古い話を持ち出すね(笑)。皆さん、ネイマール頼みという攻撃陣に厳しいですが、現在のセレソンのストロングポイントは守備面でしょう。フェリポン(ルイス・フェリペ・スコラーリ監督)が就任してからまず最初に着手したのは守備力の向上。チアゴ・シウバ、ダビド・ルイス、ルイス・グスタボらで形成する守備陣はまさに壁。今大会屈指の守備力じゃないかな。どんなアタッカーをも阻止できる能力がある。
パブロ 確かに、セレソンの最終ラインは安定感がある。
ティム イングランドは今年に入って2度、セレソンと戦っているけど、2月より(2-1でイングランドの勝利)、6月に2-2で引き分けた試合のほうが、守備が引き締まった印象があったね。
カルロス フェリポンは結果重視で慎重に試合を進めていくタイプの指揮官。無様な内容だとしても、結果が良ければそれで良し、ということ。母国開催のW杯でその逆だったら、シャレにならない出来事が待ち受けているはずだからね、彼の身にも……。
パブロ 僕がW杯に期待しているのはやはり、“華麗なる攻撃”なんだ。大会全体を戦術的に見たときに、“スペインを教科書にした”攻撃サッカーがそこかしこに見られると願っているんだけど。