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<各国記者、勝手に座談会> 2014年W杯優勝はココ
text by
鈴木英寿Hidetoshi Suzuki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/11/29 06:01
華麗な攻撃か、守備偏重か? トレンドを巡る大論争!
カルロス スペイン的であるかどうかはさておき、優勝の可能性があるチームはどこも優れたFW、トップ下、ウイング、攻撃的MFがいるね。ブラジル、アルゼンチン、スペイン、ドイツ、オランダ、コロンビアといったチームが大会を引っ張っていくことを考えれば、前回の南ア以上に攻撃的で、より多くのゴールショーが楽しめるW杯になるはずだ。
ティム 僕は2人とはまったく違う見解だね。EURO2012がそうだったけど、“守備偏重”になると予想しているんだ。スペイン、ドイツのような組織的な攻撃を実現できているチームがいくつある? セレソンすら守備的になるって、カルロスは言うじゃないか。
パブロ この論争は、ここでいったんストップだ(笑)。ここまで、ティムの母国への評価が出てきていないのが、気になるんだけれど。
ティム 期待に応えられなくて残念だけど、イングランドは優勝できない。
今のイングランドはルーニー頼みではない……はず!
カルロス ルーニー頼みじゃ、それもそうかもしれないね。同様にプレーオフでウクライナと戦ったフランスもワールドクラスのアタッカーはリベリーくらい。ブラジルもそうだけど、特定の個人に大きく依存する攻撃力では、W杯を制するのは至難の業でしょう。
パブロ イングランドは、ルーニーだけじゃないよ。若手のウェルベックからベテランのルーニーまで、年齢的なバランスも素晴らしいし、今大会のイングランドは、過去10年で最高のチーム編成じゃないだろうか。
ティム それは嬉しい見方だね! 私の国では誰もそんな風に捉えていないけれど(笑)。最大の弱点は、トーナメントの戦い方なんだ。だいたいグループリーグで低調なスタートを切って、決勝トーナメント1回戦か準々決勝で、大会のベストチームと出くわして敗北。その繰り返しさ。2002年のブラジルや1990年、2010年のドイツとか、優勝経験国に敗れて、大会を去ることが多いんだ。
カルロス でも、その壁を超えなければ、W杯を手にすることはできない。