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“王”ロードカナロア不在のマイルCS。
純粋マイラーを圧倒する“別路線組”。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2013/11/16 08:01
今年2月に京都記念を制し、武豊の27年連続重賞制覇をもたらしたトーセンラー。デビューから20戦目にして初の1600mとなるが、鞍上は「対応できる」とコメントした。
メイショウマンボを突き放した3歳牝馬が参戦。
牝馬であるがゆえに別路線を進んできたドナウブルーとマイネイサベル、そしてレッドオーヴァルも、「ひょっとしたら」と思わせる力の持ち主だ。
ドナウブルーに関しては後述するが、マイネイサベル(5歳、父テレグノシス、美浦・水野貴広厩舎)は、この春、ヴィクトリアマイルで、勝ったヴィルシーナとコンマ1秒差の3着、安田記念ではロードカナロアからコンマ4秒差の4着と好走。秋初戦の府中牝馬ステークスではコンマ2秒差の4着と、ステップレースとしては十分な走りを見せた。
レッドオーヴァル(3歳、父ディープインパクト、栗東・安田隆行厩舎)は、今年の桜花賞で首差の2着となったようにマイルが合っており、その2走前、京都芝外回り1400mで行われた紅梅ステークスでは、先週牝馬GI3勝目を挙げたメイショウマンボを3馬身突き放しているのだから、強い。
「大激戦になるか、圧勝か」の極端なGI。
筆者が抱くイメージでは、マイルチャンピオンシップというのは、「大激戦になるか、圧勝かの極端なGI」である。
大激戦としてまず思い出されるのは、1989年、「白い怪物」オグリキャップが、バンブーメモリーをハナ差で競り落とした一戦だ。オグリはそこから連闘でジャパンカップに参戦し、当時の世界レコードと同タイムの2着に激走。過酷なローテーションは批判も呼んだが、それ以上に、必死にゴールを目指すこの馬の姿が人々の心を打った。同年のマイルチャンピオンシップは、今なお語り継がれる「オグリ伝説」の重要なワンシーンとなっている。
それに対して、サッカーボーイが4馬身差で勝った'88年や、タイキシャトルが5馬身差で制した'98年などは、2着以下の馬が気の毒になるほどのワンサイドゲームだった。