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楽天・巨人の戦力を輩出してきた
東都リーグは、大学最強を守れるか。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/11/15 10:30
日本シリーズ最終戦で6回1安打無失点で切り抜け、楽天優勝を手繰り寄せた美馬学。今年プロ3年目だった27歳は、中大時代にも東都リーグ2部優勝&MVPを経験している。
晴れ舞台への渇望感か、育成の時間的猶予か。
脚光を浴びる晴れ舞台への渇望感、あるいは基礎的な体力を養う時間的猶予が上位校より下位校のほうにあり、それがプラスに働いたのかもしれない。さらに各校の監督・選手が口にする「2部リーグに落ちたくない」という気持ちがハングリー精神を育てたのかもしれない。いずれにしてもセ・パ両リーグの覇者、巨人と楽天の中核にこれだけ2部リーグを経験している東都大学リーグ出身者がいるのである。その厳然たる事実に目を向けないわけにはいかない。
さて、東都大学リーグは自他共に認める大学最強リーグだが、その足元が揺らぎ始めているのではないかという話をしたい。過去3回の全国大会での成績を振り返ってみよう。
◇大学選手権
'11年 優勝・東洋大、準優勝・慶應大
'12年 優勝・早稲田大、準優勝・亜細亜大
'13年 優勝・上武大、準優勝・亜細亜大
◇明治神宮大会
'10年 優勝・早稲田大、準優勝・東海大
'11年 優勝・明治大、準優勝・愛知学院大
'12年 優勝・桐蔭横浜大、準優勝・法政大
得点力の低さが亜細亜大を全国優勝から遠ざけている。
東京六大学リーグ(慶應大、早稲田大、明治大、法政大)の逆襲が目立つ。東都の強豪、亜細亜大はというと、東洋大以来の5連覇('07年春~'09年春)を達成して話題を呼んでいるが、その間の全国大会では1回も優勝していないのがわかる。敗因の1つに挙げられるのが貧打だ。最近4回出場した全国大会での成績を振り返ってみよう。
◇明治神宮大会
'11年……1試合(得点0) ※亜大0-1愛知学院大
'12年……2試合(得点1) ※亜大1-0福岡大、亜大0-2桐蔭横浜大
◇大学選手権
'12年……4試合(得点11)※亜大4-2八戸大、亜大3-0愛知学院大、亜大4-2龍谷大
亜大0-4早大
'13年……4試合(得点20)※亜大6-0近大工学部、亜大3-2桐蔭横浜大
亜大6-3日体大、亜大5-6上武大