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ピルロ、ブッフォンにも老いの波が。
“野生児”はユーベの窮地を救えるか。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2013/11/06 10:31

ピルロ、ブッフォンにも老いの波が。“野生児”はユーベの窮地を救えるか。<Number Web> photograph by AFLO

ピルロ(右)とブッフォン(中央)にゴールを祝福されるテベス(左)。野生児の存在は、長らくチームを支えてきたベテランたちの復活を促すか。

両脚と思考が止まる“ブラックアウト”状態。

 もちろん、闘将コンテは3年目の慢心を予想していた。夏の時分から「確実に今年は、前の2年より難しくなる」と警鐘を鳴らしてきた。

 大逆転負けを喫したフィオレンティーナ戦でも、後半途中まで2-0とリードした段階で、昨年までのユーべなら、さらに3点目、4点目を獲りにいっていた。チーム全体の両脚と思考が、突然止まってしまう“ブラックアウト(停電)”状態の遠因が、今もチームの根幹をなすベテランたちの衰えと無関係とはいえない。

 コンテが「自分にとってあらゆる負けは死に等しい。この敗戦がチームの目を覚ましてくれることを祈るしかない」と悲痛な表情で語れば、中国にいる恩師リッピ(広州恒大)も、ACL決勝を控える身ながら「今のユーベは苦境にある」と古巣の置かれた状況を不安視した。

 ユーベはCLの舞台でも波に乗れていない。グループリーグ3節を終えた時点で、ガラタサライにグループ2位の座を明け渡した。

 王者の完熟期は過ぎてしまったのか。

偉大な10番の系譜に名を連ねた、テベスの飢餓感。

 しかし、明るい材料もある。逆境に強い、奔放な野生児の存在だ。

「俺は怒っているんだ。レアル相手にも互角にやれていた。もう一度、リーグ戦に集中するところからやり直す」

 野放図だが敵には容赦しないFWテベスは、失点に絡むDF個人のミスへの感情を飲み込み、チームへの不利な判定にのみ怒りをぶつけた。連敗明けの9節ジェノア戦と10節カターニャ戦で連続ゴールを叩き込み、チームを連勝へ導いた。

 加入1年目にして出場10試合6得点という彼の得点ペースは、バッジョやデル・ピエーロといった過去の“10番”たちに匹敵する。

 テベスには、連覇の満腹感も勝ち疲れた慢心もない。ただ、ブエノスアイレスの貧民街で仕込まれた筋金入りの飢餓感があるだけだ。貪欲な野心が、高い適応能力を生む。

 あらゆる布陣に順応し、パートナーを選ばないテベスは、まるでずっとセリエAでプレーしていたかのようにピッチを駆け回っている。遠慮もしないが、偉ぶりもしない。

【次ページ】 伏兵、ローマの逃げ切りを許すわけにはいかない。

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