セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ピルロ、ブッフォンにも老いの波が。
“野生児”はユーベの窮地を救えるか。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/11/06 10:31
ピルロ(右)とブッフォン(中央)にゴールを祝福されるテベス(左)。野生児の存在は、長らくチームを支えてきたベテランたちの復活を促すか。
伏兵、ローマの逃げ切りを許すわけにはいかない。
「リーダー役は俺一人じゃない。ここじゃ、皆がリーダーなのさ」
疲弊したチームに、テベスの野性が活力を与えている。
カターニャ戦でキャリア通算39本目のFKゴールを叩き込んだピルロの額には、前半の間に疲労の汗がすでにたっぷり浮かんでいた。だが、その瞳には再び凄みが宿る。第一線に執着する天才司令塔は、試合後「(国内での)連勝で、自分たちのペースを取り戻せた」とモチベーションを新たにした。
指揮官コンテは、チームへ刺激を与えるべく、研究され尽くした感のある「3-5-2」から、2年前まで使い込んでいた「4-3-3」へと戦術を変更。4バックへの回帰は功を奏し、ジェノア戦以来の2試合で、今シーズン初の連続完封勝ちを収めた。
未だ危ういバランスながら、今、3年目の王者を支えているのは、衰えの見え始めた名手たちの踏ん張りと野生児の刺激だ。
開幕10連勝によってセリエA新記録を樹立したローマが、いよいよスクデットレースの中でダークホースとは言えない存在感を放ち始めている。しかし、伏兵の逃げ切りを許すわけにはいかない。
10日、ナポリとの南北対決は首位戦線をかけた晩秋の天王山だ。貴婦人に3位は許されない。