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選手獲得競争が箱根駅伝をダメに!?
大学に求める「勧誘条件の平等化」。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2010/12/29 08:00
多額のマネーが動くようになった箱根駅伝。シンプルな大学対抗戦というより、大学の営業ツールとしての存在感を年々強めてきている
経済の沈滞と格差が大学間の過当競争を生んでいる。
私が常々、日本の大学スポーツに関して提唱したいのは、「勧誘条件の平等化」である。アメリカの大学で行われているように、競技によって授業料、教科書代を免除する選手の枠、数を決めるべきだと思う。野球は1学年9人、陸上長距離ブロックは5人まで……などなど、大学間で格差が出ないようにする。
アメリカは「公平性」をことさら重んじる国だから、こういうルール作りが行われているのだが、日本では統括団体がないため、いろいろなスポーツで大学が本気になったところが強くなる。
いまの箱根駅伝は、日本経済の沈滞、国内での格差が拡大することによって、大学間の過剰な経済競争を生みかねない状況に陥っている。
視聴率が毎年のように25%を超える怪物番組だけに、動くお金も大きくならざるを得ない。そんな時には、しっかりとしたルール作りが必要だと思う。
大学のスポーツは教育の側面を持つ。自由競争ではなく、一定のルールのなかでの競争であるべきだと私は思う。