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バスケット界が今度こそ本気に。
新リーグNBL、波乱含みの開幕!
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byKyodo News
posted2013/10/03 10:30
開幕直前に行われた会見で、勢ぞろいした各チームの選手たち。地元ファンへの訴求力を高めようとする一方で、全試合のオンライン観戦も整備するなど、試行錯誤が続く。
プロチームと、企業チームの目指すところの違い。
さらに、サッカーのJリーグはチーム名から企業名を完全に消すことに成功したが、今回のNBLでは、企業チームはそのまま企業名を名前に残すことが許されている。相変わらず、アイシン、東芝、トヨタ自動車、日立、三菱電機といった企業名が並ぶ。
どのチームもホームタウンを持ち、その地域名を名前に入れることは義務付けられたが、その分、「トヨタ自動車アルバルク東京」「三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ名古屋」など、やたら長くて覚えられない名前になっている。
とはいえ、それでも今回のNBL設立の動きには、これまで何度も失敗したプロ化の動きとは根本的に違うことがいくつかあった。
ひとつは、各チームに自主興行を義務付けたこと。企業チームの撤退が続く中、プロチームを受け入れる必要性に迫られたJBLは、6年前から自主興行を認めるようになった。しかし義務づけられていなかったため、企業チームのほとんどはJBL関連会社に運営を託していた。企業チームにとって、スポーツチームはあくまで福利厚生の一環であり、収益をあげる必要がなかったからだ。むしろ自主興行することによって人手がかかり、経営面でのリスクも伴うことのほうがマイナスだと見られていた。
裏返していえば、全チームに自主興行を義務づけたことで、福利厚生としてのチーム運営理論では通用しないということを徹底したことになる。これまで、企業チームとプロチームが、それぞれ目指すところにずれがあるままにリーグ運営されていたものを、自主興行によって収益をあげることを第一とする運営方針で統一したことは、リーグとして大きな一歩だった。
プロ運営の理念で統一された新リーグ。
プロチームと企業チームの温度差を埋めたことで、試合数も昨季より12試合増やし、各チーム54試合とした。これまでは、試合数を増やして収益を増やしたいプロチームと、試合を開催すればするほど経費がかかるという企業チームの考えにずれがあったのだが、プロ運営の理念で統一したわけだ。
今回、リーグを始めるにあたって、NBLはあえて自らを「プロリーグ」とは呼んでいない。これは、プロという言葉を使うことに抵抗があった企業チームの考えが通ったためだが、呼び方はともかく、リーグ全体としてプロ運営に変えようとする方向性は感じられる。実際、NBL初年度の12チーム中、プロチームが7チーム、企業チームが5チームと、数の上ではプロチームのほうが多くなった。