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バスケット界が今度こそ本気に。
新リーグNBL、波乱含みの開幕!
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byKyodo News
posted2013/10/03 10:30
開幕直前に行われた会見で、勢ぞろいした各チームの選手たち。地元ファンへの訴求力を高めようとする一方で、全試合のオンライン観戦も整備するなど、試行錯誤が続く。
「バスケットボールを、野球、サッカーに並ぶ第3のメジャースポーツにしたい」
9月28日に開幕したNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)の専務理事、山谷拓志はこの1年余り、何度も、そう口にしてきた。
正直なところ、それを聞いて「またか」と思ったバスケットボール・ファンも多かったのではないだろうか。
これまでも日本のバスケットボール界は、何度も夢物語を打ち上げてきた。オリンピック出場、世界選手権でのメダル獲得、トップリーグのプロ化。そのどれもが、現実には絵に描いた餅であり、打ち上げる構想がどれだけすばらしいものでも、実現しないことばかりだったからだ。
実際JBLがスーパーリーグと名前を変え、再びJBLと名前を戻す中で、遅々として進まないプロ化を待てなかった一部のチームが、リーグを飛び出てbjリーグという別リーグを設立。その結果、それぞれ自らを“トップリーグ”(JBL/NBL)“プロリーグ”(bjリーグ)と呼ぶ2つのリーグが並列するという、実にわかりにくい状況がずっと続いている。JBLも、プロチームが参加しやすいリーグにするためにいくつかの改善は見せてきたが、それでも企業チーム主導の実業団リーグから抜け出せていなかった。そして、JBL選手を中心に結成される男子代表は、世界の舞台に立つどころか、アジアの中でも遅れを取っているのが現状だ。
冷めた目で新リーグを見つめるバスケファン。
それだけに、JBLが新たにNBLと名前を変え、いくら「第3のメジャースポーツに」と立派な目標を掲げたところで、多くのバスケファンは冷めた目で見ていた。
「新リーグというけれど、いったい何が変わったんだ? 名前だけじゃないか?」
そんな声もあちこちで聞かれた。何度も実現できない、言葉だけの目標を掲げ、実現できなくてもうやむやにしてきたことで、日本バスケットボール界全体が冷めた見方をするようになってきてしまったのだ。
それも無理のないことなのかもしれない。何しろ、多くのファンが望んでおり、NBL設立の主目的のひとつとみられていたJBLとbjリーグの完全統合はならず、初年度の今季にbjリーグからNBL入りしたのは、わずか1チーム、千葉ジェッツだけだった。結局、未だに日本のバスケットボールはNBLとbjリーグの2つのリーグが並立する、わかりにくい状態であることは変わりない。