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斎藤、大石、澤村に続く逸材を紹介。
来季ドラフトも大学生投手が大豊作!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/12/06 10:30
10月22日、亜大を2安打完封した東洋大の藤岡貴裕投手。亜大・東浜とのエース対決を制し、3試合連続、今季5度目の完封を達成した
最速157キロの直球に変化球を織り交ぜる東海大・菅野。
以上3人はもちろん'11年ドラフトの上位指名候補だが、さらにスカウトの注目を集めているのが菅野、野村、藤岡の3人である。
菅野は最速157キロのストレートをアウトロー中心に配し、打者のバットがいかにも遠く見える。打者が踏み込んでいけないのは時折飛び込んでくる内角ストレートのためで、コースの厳しさとともに腕を存分に振ってくるので、どうしても腰が引けてしまう。
これほど威力があるストレートなのに投球内容で見ると主役にはしていない、というのが菅野の持ち味である。直球と変化球の比率はほぼ半分半分。110キロ前後のカーブ、142、3キロのスライダーとカットボール、さらに135キロくらいのフォークボールを低めに集め、それを内、外と丁寧に突いてくるので打者は的が絞り切れない。
首都大学野球リーグ戦では、相手校が「よくヒットを打てるな」と思うくらい絶対的な力を見せつけ、今秋の成績は7試合(51回)投げて6勝0敗、自責点1、防御率0.18と圧倒的。明治神宮大会初戦の関西国際大ではわずか98球で完投しているが、この傾向はリーグ戦でも同じで、追い込まれたら最後、という打者の弱気が反映されている。
1年生の秋に防御率0.00を記録した明大・野村。
野村は今秋の東京六大学リーグ第3週の早大1回戦で斎藤に投げ負け(7回3失点)、不安を感じさせたが、下記のようにそこから見事に復調している。
第5週の法大1回戦が1失点完投勝利。
1勝1敗となった3回戦が1対0の完封。
第6週の慶大1回戦が完封。
1勝1敗となった3回戦が4失点完投(1点差で敗退)。
第7週の立大1回戦が7回勝利(1失点)。
早大戦ではストレートの最速が149キロを記録し(ほぼ全試合、これくらいのスピードは出る)、変化球は次のようなスピード帯で多彩に展開する。
横カーブ……110キロ程度
縦スライダー……125キロ程度
横スライダー……125~132キロ程度
カットボール……140キロ前後
シンカー……130~135キロ程度
これらにツーシーム、シュートと思われる球が散見でき、ストライクゾーンに近いボール球で打者の打ち気を誘うところに野村の真骨頂がある。
1年秋には7試合(34.2回)に登板して、自責点0、つまり防御率0.00を記録。斎藤佑樹(防御率0.83)、加賀美希昇(1.20)、岩田慎司(1.22)というプロに進んだ先輩たちを下に置いたほどの活躍を見せた。