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スポーツの見方が変わる?
「ニコ生」という新潮流。
~W杯最終予選×ネット中継の相性~
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byNICONICO
posted2013/07/07 08:00
6月4日オーストラリア戦の中継番組。盛り上がる場面では、画面がコメントで埋め尽くされることも。
実況者、解説者の見せる“ユルさ”が共感を呼ぶ。
心地良さを演出しているのは独特の“ユルさ”だ。船渡氏が続ける。
「出演者の皆さんに求めているのは、あくまで視聴者と同じ感覚で試合を観てもらうことです。極端に言えば、お菓子を食べながらでもいい。一流の実況者や解説者が、テレビ出演時にはあり得ないような“素”のテンションで、“普通”のコメントを言う。そういうユルさが、視聴者の共感を呼んでいる気がします」
実況者も解説者も、テレビの世界の第一線で活躍するプロフェッショナルだ。そんな人たちと茶の間で一緒に観戦している感覚を味わいながら、リアルタイムで言葉を交わす。誰もが実況者であり、誰もが解説者。インターネットによって生まれたそんな世界が、サッカーファンの観戦スタイルを変えつつある。
今や『ニコ生』はJリーグなどとの協力体制も確立し、ついにはスポンサーまで獲得する盛況ぶりだ。それでも独特のユルさは揺るがない。
「お茶の間の皆さん……」
時折テレビの中から聞こえてくる一方的な呼び掛けに、『ニコ生』なら、まさに茶の間からリアルタイムで応答することができる。誰もが解説者になれる――それこそを最大の魅力とするサッカーとの相性が、悪いはずがない。