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【コンフェデ2013 出場国解説】
守護神はカシージャスかバルデスか?
悩ましくも豪華な“世界王者”スペイン。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2013/06/06 10:30
EURO2012の決勝イタリア戦でも、再三の好セーブを見せ優勝に貢献したイケル・カシージャス(写真中央)。絶対的守護神は、ブラジルの地で再びスペインのゴール前に立ちはだかるのだろうか。
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今回は、この1年、14勝4分けと圧倒的な戦績を残しているスペイン。
だが、タレントが揃う“無敵艦隊”にも一つだけ懸念があった――。
地域 | 前回W杯優勝国 ('10年南アフリカW杯優勝) |
出場回数 | 2大会連続2回目 |
監督 | ビセンテ・デルボスケ |
FIFAランキング | 1位(5月9日現在) |
「時代はリーガからブンデスへと移った!」
今季のチャンピオンズリーグでバルセロナがバイエルンに、レアル・マドリーがドルトムントに敗れ去ったことで、まことしやかに囁かれるこの言葉。EURO'08から'10年W杯、そしてEURO'12と3大会連続で国際大会制覇を果たしたスペイン時代の“終わりの始まり”を期待しているかのようだ。
それでもデルボスケ監督率いる“無敵艦隊”スペイン代表は、力強い航海を続けている。
ブラジルW杯欧州予選・グループIではフランスとの一騎打ちとなっているが、最大のライバルとの対戦を1勝1分けで切り抜けて首位をキープしている。また2月6日に行われた親善試合では、コンフェデで初戦の相手となるウルグアイと激突し、セスクの先制ゴールとペドロの2得点で3-1と勝利。前哨戦で貫禄を見せつけた。スペインのここ1年間の成績は14勝4分けと圧倒的な戦績を残していることから、まだまだ世界のトップに君臨していると言えるだろう。
シャビやピケ、イニエスタらバルセロナの中心メンバーをそのまま移行してポゼッションを高めるスタイルは、もはやお馴染み。そこにセルヒオ・ラモスやアルバロ・アルベロアらのレアル・マドリー勢、そしてマタやダビド・シルバ、今季のバイエルンの3冠を支えたハビエル・マルティネスら“海外組”をミックスさせた陣容は、所属するグループBではもちろん、出場全8カ国中随一だ。
GKは大舞台に強いカシージャスか、ビルドアップに勝るバルデスか。
ただ一つ、懸念点があるとするならGKの選択だろうか。それはデルボスケ監督の古巣、レアル・マドリーで起きたカシージャスの不遇に端を発する。
今年1月に行われたコパ・デル・レイで左手第一中手骨を骨折して戦線離脱したカシージャス。その間にモウリーニョ監督はディエゴ・ロペスを緊急補強する。以前から指揮官との確執が続いていた絶対的な守護神は、ケガから復帰して以降もベンチを暖める日が続いた。
カシージャスの離脱中にスペイン代表正GKの座をつかんだのは、バルセロナのビクトル・バルデス。安定感では劣るものの、所属クラブで鍛えたビルドアップ能力はカシージャスを上回る。
しかしクラブだけでなく代表でも主将を務めるカシージャスは、EURO'08イタリア戦でのPK戦や'10年W杯決勝でビッグセーブを連発したように、大舞台での強さを持っている。そして今回はスペインの最終ラインを統率し続けた“闘将”プジョルが選出外となったため、精神的支柱としても存在感は大きいはずだ。
試合勘という不安要素があってもカシージャスを定位置に据えるのか、それとも“バルサ・スタイル”に慣れているビクトル・バルデスをそのまま起用するのか――。
6月16日、レシフェで行われるウルグアイとの初戦で答えが出る。