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ドルトムント、打倒バイエルンの秘策。
ヒントは今季の直接対決3試合にあり。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2013/05/24 11:40
CL決勝前のプレスカンファレンスでのユルゲン・クロップ監督。ゲッツェのバイエルン移籍の他にもレバンドフスキ、フンメルス、ギュンドガンなどにも移籍の噂が出てきており、苦悩は続く。
今季の対戦成績を見れば、バイエルンが優位だが……。
昨シーズンはドイツ杯を含めて、ドルトムントがバイエルンに3連勝している。それに対して、今季はプレシーズンのスーパーカップを除いた3試合でドルトムントは2分1敗と、一度も勝てていない。これをもって、バイエルン優位を説く声も大きいのだが、実はそう単純には言い切れないのではないか、と思っている。
今シーズンのバイエルンとの対戦が、ドルトムントにとってはテストの連続だった可能性を指摘するのが、『ベルト』紙である。
この3試合のドルトムントの中盤から前の並びを見てみると、それが明らかになる。
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最初の対戦は12月1日、ミュンヘンで行なわれたリーグ戦だ。
フォーメーションは4-2-3-1。
ギュンドガンとS・ベンダーがダブルボランチを組み、2列目にクーバ、ゲッツェ、ロイスが並び、トップにレバンドフスキ。
2度目の対戦は2月27日、ミュンヘンで行なわれたドイツ杯。
フォーメーションは4-3-3。
アンカーの位置にS・ベンダーが入り、その前にクーバとギュンドガンが並ぶ。両ウイングにゲッツェとロイスが入り、トップにレバンドフスキ。
そして、3度目の対戦は5月4日、ゲッツェが負傷したあとにドルトムントで行なわれたリーグ戦だ。
フォーメーションは4-2-3-1。
ケールとサヒンがダブルボランチを組み、2列目は右からクーバ、ギュンドガン、シーバー、そしてトップにはレバンドフスキだった。
2分1敗の成績は模範解答を求めるためのプロセスだ。
最初の試合はオーソドックスに戦い、引き分け。
2度目は0-1で敗れたものの、マルティネスとシュバインシュタイガーというバイエルンの攻撃の起点をある程度はケアすることが出来た。
そして3度目は、ゲッツェ不在に備えて、かつてはトップ下を本職としていたギュンドガンをトップ下で起用したものだ。わずか14分でギュンドガンが負傷退場したものの、試合の入り方はとてもスムーズだった。試合は1-1の引き分けに終わっている。
唯一敗れた2度目の対戦にしても、ロッベンのスーパーゴールに涙を飲んだ格好であり、完敗というわけではなかった。つまり、ベストアンサーを導き出せてはいなかったものの、ベターな戦いは出来ているのだ。