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ドルトムント、打倒バイエルンの秘策。
ヒントは今季の直接対決3試合にあり。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2013/05/24 11:40
CL決勝前のプレスカンファレンスでのユルゲン・クロップ監督。ゲッツェのバイエルン移籍の他にもレバンドフスキ、フンメルス、ギュンドガンなどにも移籍の噂が出てきており、苦悩は続く。
人は、お金も時間もないときにこそ、頭を使うという。
要は、窮地に立たされた時に、必死に知恵を絞るのだ。いまのドルトムントは、まさにそんな状態なのかもしれない。
足首の怪我で欠場の可能性も指摘されていたDFリーダーのフンメルスはどうやら決勝戦に間に合いそうだが、万全とは言えない。右サイドバックのピシュチェクも鼠径(そけい)部に慢性的な痛みを抱え、シーズン終了後に手術に踏み切ることをすでに発表するなど、ベストではないことが洩れ伝わってきている。
そして、CL準決勝セカンドレグで肉離れを起こしながら、決勝戦で復帰できるように調整を続けてきたゲッツェ。
今週の月曜日からはようやくグラウンドでランニングを始めていたのだが、患部を再び痛めてしまい、決勝戦でプレーするチャンスはなくなってしまった。この試合を最後に、ドルトムントからバイエルンに移ることを発表していたMFは無念をにじませた。
「チームを助けることが出来なくて、本当に申し訳ない……」
ゲッツェの欠場は痛いが、チーム全体の戦力はキープ。
ただ、右MFを務めることの多いブラシュチコフスキことクーバは、ゲッツェが怪我をした時点から主張し続けていた。
「去年のドイツ杯にも、ゲッツェはいなかったんだぜ!」
5対2でバイエルンを下したドイツ杯決勝戦を、かの天才MFは欠場している。もっと言えば、昨年の4月11日、ドルトムントがバイエルンを下してリーグ連覇を確実なものにした試合でもゲッツェはいなかった。昨シーズンの後半戦は、グロインペインのためにゲッツェは戦列を離れていたのだ。
その恩恵をうけたのが、今シーズンは完全なるレギュラー扱いとなったクーバなのだ。
昨シーズン前半戦にはサイドのMFとしては4番手に甘んじていたクーバは、ゲッツェ不在の間にチームのために汗を流し続けることでポジションを獲得していたのだ。ゲッツェをリスペクトしてはいるが、ドルトムントはゲッツェのワンマンチームではないし、対バイエルンで考えればゲッツェの不在をなげく必要もないのではないかと、彼は考えている。