野球善哉BACK NUMBER
島袋はついに“怪物”になったのか?
興南vs.聖光、エース対決の顛末。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/08/18 20:15
島袋の“怪物”ぶりが歳内の来年の成長を約束する。
我喜屋監督は島袋について、こう評価した。
「試合前に言った通りのことを実行してくれた。よくやってくれました。ただ、これで乗り越えたわけではない。悪い反省ではなくて、省みるという意味の反省をして、次に生かしてほしい」
勝った島袋は、まだこの舞台での戦いが続く。それは“怪物”への道のりでもある。
一方の負けた歳内だが、負けたからといって彼の戦いが終わったわけではない。まだ2年生なのだ。島袋と戦えたこと、あの1球で試合が決まってしまったことをどう生かすか。
目を赤らめながらインタビューの壇上に上がって来た歳内は気丈に試合を振り返っていた。
「(爪を割っていたという指摘があったが)それは関係ないです。コンディションはここまできたら、みんな同じです。興南はさすがセンバツを優勝したチームだなと思いました。(島袋については)結構、こっちも安打を打っているのに点が入らない。そこがすごいなと思いました。精神的にも能力的にも通用しなかったので、成長して帰ってきたい。ボールの判定は審判がボールと言えば、ボールです。自分が甘かった」
好投手はよく「1球に泣く」というが、島袋との対決ではまさに1球で泣くこととなった歳内。「この1球」にどこまで己を高めてこられるのか。「来年は旗を取るくらいの気持ちでやってほしい」とは斎藤監督の弁である。
勝った島袋のこれからの戦い。
負けた歳内の次の1年の戦い。
大きな意味を持った試合だった。