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古川橋発、吉原経由、夢の島まで。
明治通りは「祈りの環状線」だった。 

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疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2010/07/18 08:00

古川橋発、吉原経由、夢の島まで。明治通りは「祈りの環状線」だった。<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

ここからも見えました、東京スカイツリー。

 大関横丁と泪橋の交差点は、非常に近いところにあるんだけど、いやー、このエリアの歴史のあまりの重さに、ちょっと押しつぶされそうになる。

 しかし、都市というものの面白さは、実はこういうところにあるとも思うのだ。きれいに着飾った外面の裏に、底知れない闇を抱えているから、都市というものは、味わい深く、美しい。

 裏を返せば、それがない街は、どこかぺらぺらに薄っぺらくて、つまらない。

 というわけで、全然、というわけじゃないが、明治通りをさらに南に向かってみよう。

 白鬚橋の近くからは、汐入の都営高層マンション群と、それから、おお、ここからは東京スカイツリーがよく見えるなぁ。もはや東京の東側どこからでも見えるんだけど、やはり橋の上からは見通しがいいね。

 白鬚橋を渡ると、踏切があって「小村井」という駅が隣接している。これが私が思うに東京23区内で一番マイナーな鉄道「東武亀戸線」の駅だ。

 亀戸駅から曳舟駅までを結ぶ、わずか3.4km、5駅のローカル線。以前、とある本を書くという理由があって、私の周囲で聞いてみたことがある。聞いても聞いても「乗ったことがある人」はゼロだった。それだけ地元密着型、というか、本当に地元の人しか乗らない路線なのだ。

 その踏切を越えて亀戸へ。

亀戸を通り過ぎるときにちょっと「むか」。

 亀戸駅前には「自転車の利用環境が変わります」との垂れ幕がかかり、ワケの分からない自転車レーンが引っ張ってあった。

 自転車を相互通行のまま隔離して「クルマの邪魔にならない」ことだけを目指した、世界でもまれに見る最低最悪レーンだ。

 このレーンは、正面衝突事故を誘発し、税金を無駄遣いするだけに終わるだろう。エコのためにも、交通安全のためにも、健康のためにも、何にもならん。

 こういうバカバカしい通りを見るにつけ、私は以前から、自転車に乗りもしないアホタレ役人が、勝手に自転車行政をもてあそんでいる、と思っていた。

 だけど、現実は違うな。

 こんなの、自転車に乗ろうが乗るまいが、写真を見ただけですぐに危険だということが分かる。おそらくこれを設計した人は、ただ単に、知能が低いのである。

 要するに行政に携わる資格がそもそもないのだ。

【次ページ】 北砂、南砂、東砂、新砂……。

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