日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ヨルダンで苦杯喫したザックジャパン。
攻守に見えた“アンマンの教訓”とは?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/03/27 12:30
試合後、「僕らがもっと点を取っていれば勝てた試合だった。それに尽きます」とコメントした香川。2失点の守備陣を責めるべきか、1得点の攻撃陣を責めるべきか……。
前半は苦しみながらも日本のペースで試合は運んでいた。
「左で崩して右で決める」狙いはまずまずうまくいった。
前半4分にはゴールライン近くまで進入した清武の折り返しから香川がシュート、14分には再び清武のアーリークロスから前田がヘディングシュートというシーンをつくった。
本田圭佑が不在とあってボールがなかなか前線で収まらず、ボールの落ち着かない展開ではあった。
それでも我慢してつないで攻め立てていく。
左を意識させておくと、今度は中央、逆サイドが空いてくる。20分には左から中に入り込んできた清武が岡崎のパスを受け取ってシュート、そして23分には右サイドに出た長谷部誠のクロスに前田がヘッドでジャストミートしたものの、これはクロスバーを叩いた。
昨年6月に6-0と大勝した相手のウイークポイントは、クロスに対してボールウオッチャーになる特徴があること。その狙いも頭に入れたうえでの攻撃だったが、チャンスに決めきれない。
35分には、清武と香川の連係で左サイドを崩して、最後はこぼれ球を長谷部がシュートを放つ。これではたまらないとばかりに、ヨルダンは右サイドバックを代えて手を打った。踏ん張ってはいたものの、ヨルダンの対応は後手を踏んでいた。
ピッチは見た目上、問題ないように見えるが、土質がコンクリートのように硬いというのが選手たちの反応だった。踏み込んでもツルッと滑ってしまう場面も何度か見られた。それに地面が波を打つようにデコボコで、ボールがどこに弾むかも分からない。そんなピッチコンディションに苦しみながらもチャンスを演出した。
昨年6月の大勝と同じくらいの得点機が作れた試合だった。
試合前、オーストラリアとオマーンが2-2で引き分けた情報は入っていた。この結果を受けて、引き分け以上でブラジルW杯出場が決まることは理解していた。
とはいえ、監督、選手ともに“勝って決める”という共通認識もできていたように思う。
「ここで決めるという気持ちを持って(試合に)入った。入り方も悪くなかった」とは岡崎。
6月のホーム戦は前半35分までに4点が入って試合が決まった。この日も、それぐらいのチャンスはあった。
しかしここで決められなかったことが、結果的に流れを変えてしまった。