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糸井と田中の穴は大谷翔平が埋める!?
日本球界の常識を覆す日ハムの挑戦。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/03/28 10:31
オープン戦では、投手として157キロを投げ、打者としても10試合で打率.182を記録した大谷。球団史上2人目となる高卒新人での開幕スタメンなるか?
糸井の放出はゴールデン・ルーキー抜擢への下準備?
再び吉村の言葉だ。
「'05年のことなのですが、本当に心苦しかったんですけど、一軍半の選手を大幅にリストラしたことがあります。
彼らは能力的には一軍では活躍できそうもないのですが、いたらいたで使わざるをえない選手たちだった。そういう選手層があると、若手を一気に使って、一気に育てるということができなくなってしまうんです。'07年も、監督のヒルマンは、主力が抜けたことを嘆くよりも、若手を思い切って使えるなという思いの方が強かったのではないでしょうか。 (中略)
その中のひとりが糸井でした。まだ野手に転向して1年も経っていないときで、実績はほぼゼロでしたが、練習を見ればその潜在能力は一目瞭然なわけです。どう考えても、使えばレギュラーになれる素材だった。結局、'07年はスタートで結果を残すことができなかったので、コーチ陣の反対にもあって、ファームに落とさざるを得なかったのですが、ヒルマンは最後まで使いたがっていましたからね」
若干状況は異なるが、今季で言えば、当時の糸井とかぶるのが、ゴールデン・ルーキーの大谷翔平だ。「糸井放出」を決断した背景には、結果的に、大谷を使いやすい環境になるという計算も少なからず働いたのではあるまいか。
コーチ陣を一新した今季こそ、栗山監督の真価が問われる。
日本ハムのもうひとつの注目点。
それは監督の栗山英樹の手腕だ。
昨季は新監督が就任したにもかかわらず、チーム外からは打撃コーチひとりが加わっただけという異例のスタッフ人事だった。つまり、3年ぶりリーグ制覇の大功労者であることは間違いないが、穿った見方をすれば、力が及ぶ範囲も限られていたわけで、前年までの「遺産」のお陰だという見方もできる。
だが今シーズンは、ヘッドコーチに阿井英二郎、ピッチングコーチに黒木知宏を起用するなどコーチ陣を大幅に刷新。気心の知れたコーチも多く、昨年以上に栗山カラーが前面に出てくるはずだ。