MLB東奔西走BACK NUMBER
日本人“助っ人”を襲う、
MLB世代交代の波。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2010/07/09 10:30
ロッキーズのヒメネス(26歳)は7月7日現在で14勝1敗、防御率2.27と、リーグ最多の勝利数を挙げるなど抜群の安定感を誇っている。日本のネット掲示板でも「凄すぎる!」と話題に
三冠王達成者の平均年齢が証明する20代選手の実力。
1カ月ほど前のことだが、前述のイシアーの三冠王に興味を持ち、過去の打者三冠王(打率、本塁打、打点)と投手三冠王(勝利数、防御率、奪三振数)の達成状況を調査したことがあり、導き出したデータにちょっと驚きを隠せなかった。
いわゆる近代野球になった1900年以降三冠王を達成したすべての選手の達成時の年齢を調べ上げ平均年齢を計算したところ、投手で28.9歳、野手で26.5歳だったのだ。自分が想像していた以上に低い年齢だったのだ。
投手三冠王の場合、過去20投手が計30回達成する中、2002年のランディー・ジョンソンの38歳を筆頭に12度が30代投手によるものだが、一方の打者三冠王は、過去11選手が計13回達成した中で、1966年のフランク・ロビンソンの30歳と1934年のルー・ゲーリッグの31歳の2度しかないのだ。
打者の場合、1967年のカール・ヤストレムスキーを最後に三冠王達成者が現れていないのですべて鵜呑みにすることはできないが、このデータから投手、野手ともにピーク年齢が20代後半であるだろうという推測は決して的外れではないはずだ。前述した今シーズンの個人成績の推移も、ある意味それを証明してくれている。
“助っ人”の日本人はもう不要? 生存競争は激化の一途。
スポーツ医学やコンディショニング理論の発達で選手寿命が着実に伸びている昨今、30代に入っても実績を残す選手が増えており、選手のピーク年齢も少しずつ上がっているはずだ。
だが、選手の年俸高騰化と長引く経済不況の影響で、メジャーの世代交代はさらに加速化に向かわざるを得ない。シーズン後半に向けベテラン選手たちの生き残り競争はさらに厳しくなるだろうし、メジャーの“助っ人外国人”として存在する日本人選手たちが置かれた状況も必然的に難しさを増している。