日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
過去の“轍”を踏まないために――。
ザックジャパン、新味なき選考の真意。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTamon Matsuzono
posted2013/02/01 12:35
初招集となった大津祐樹(VVVフェンロ)について「以前にも呼びたいと思っていたが、所属クラブで試合に出ていなかったのでね。今は良いプレーをしているから呼んだ」とコメントしたザッケローニ監督。
所属チームでのプレーを一度リセットするための招集。
「グループというものを固めてチームとしてのコンセプトの再共有といったものを短期間でしたいという思いが強かった。各クラブで各々のポジションで慣れていることをゼロにして、代表のやり方でやっていく必要がある。代表でやったのは数カ月前。思い出すのが簡単ではないからだ」
代表で集まるのは昨年11月のオマーン戦以来、約3カ月ぶりとなる。おそらくザッケローニとしては昨年のスタートのことが気になっていたに違いない。初戦のアイスランド戦の5日後に3次予選ウズベキスタン戦が控えていた。
ここで海外組と国内組を合わせて試合に臨んだものの、0-1で敗れてしまっている。既に3次予選突破を決めていて“消化試合”ではあったが、スムーズな連係が見られなかった一戦。海外組にとっては前年11月のタジキスタン、北朝鮮戦以降、3カ月ぶりの試合となったことも少なからず影響していた。
代表の感覚を取り戻すために、3カ月は空けたくないというのが指揮官の本音ではなかろうか。
こう考えれば、最初からテスト的な意味合いでラトビア戦を想定することなど、指揮官の頭になかったと思われる。
優先するべきは「テスト」よりも「準備」。
1カ月半前のラトビア戦で感覚を一度戻したうえで、カナダ戦で準備して「大一番」のヨルダン戦に向かうという算段を、以前から立てていたに違いない。
中村(憲剛)、駒野、栗原、岩政らが外れた理由とは?
ただ今回、主力、サブともにすべていつものメンバーをそろえたわけではない。キャリアのある中村憲剛、駒野友一ら国内の常連組が今回はメンバーから漏れている。
「インシーズンの選手、つまり海外組の選手を重点的に多く呼びたかった。中村、駒野、栗原(勇蔵)、岩政(大樹)など(今回外れた選手には)代表チームの選手だと思ってもらいたいし、今回はそういう理由で招集に至らなかったに過ぎない」
メンバー構成は海外組15人に対して、国内組が8人。しかしこれは海外組重視の姿勢ではなく、あくまでコンディションの問題だと指揮官は強調している。Jリーグの各クラブは始動したばかりとあって、それを考慮したということだ。