日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
過去の“轍”を踏まないために――。
ザックジャパン、新味なき選考の真意。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTamon Matsuzono
posted2013/02/01 12:35
初招集となった大津祐樹(VVVフェンロ)について「以前にも呼びたいと思っていたが、所属クラブで試合に出ていなかったのでね。今は良いプレーをしているから呼んだ」とコメントしたザッケローニ監督。
主力メンバーをそろえた意味とは――。
海外から本田圭佑、香川真司、長友佑都らザックジャパンの主力を全員集め、まったくの新顔としては大津祐樹がただ一人呼ばれただけだ。
2013年一発目の試合となるラトビア戦(2月6日、ホームズスタジアム神戸)のメンバー発表会見。休暇を終えて来日したばかりのアルベルト・ザッケローニは今回のメンバー編成について、こう説明した。
「2013年というのは我々にとって大切な一年になる。まず一番の目標であるW杯の出場権を勝ち取ることが重要で、その大きな目標を3月26日のヨルダン戦で達成したいと考えている。(ヨルダンとの)大一番に向けて、2試合のテストマッチが用意されているので、これらをいかに有効利用していけるか。我々としては3・26にしっかりと照準を合わせていきたいと思っている」
現在、ブラジルW杯アジア地区最終予選グループBのトップを走っている日本は、アウェーのヨルダン戦に勝利すれば無条件で5大会連続となる本大会出場権を手にすることができる。それも6月の2試合を残して。
ヨルダン戦で必ず出場を決めるという指揮官の不退転の覚悟を表した、メンバー構成だと言える。
3・26ヨルダン戦ですべてを決めるため、必勝態勢を準備する。
あたかもヨルダン戦が直近に迫っているかのようにも聞こえるが、2月6日のラトビア戦からは1カ月半近くも先になる。加えて、ヨルダン戦の4日前にはドーハでカナダ戦がテストマッチとして用意されてもいる。
つまりこのラトビア戦の位置づけとしては、セレクションに重点を置く試合と考えることもできたということだ。
実際、昨年の1試合目となったアイスランド戦(2月24日)は、国際Aマッチデーではなかったこともあって国内組で固めて試合に臨み、大久保嘉人や石川直宏などザックジャパン初招集組を起用するなどテスト的な色合いが強かった。
今回はFIFAが設定するフレンドリーマッチデーであり、クラブの許可さえ下りれば海外組も招集可能となる。テスト的な意味合いを強めるとすれば、海外からは大津だけでなく欧州遠征で招集した宇佐美貴史などが入ってきてもおかしくはない。国内組だって多くの選手を呼ぶことは可能だった。
しかしザッケローニはそれをしなかった。
主力を集めることにこだわった。