欧州サムライ戦記BACK NUMBER
20日のトッテナム戦で再び輝けるか?
香川が語る“スタイル”へのこだわり。
text by
鈴木英寿Hidetoshi Suzuki
photograph byAP/AFLO
posted2013/01/16 12:00
1月13日のリバプール戦に中盤左サイドで先発した香川。前半終了間際には、ゴール前のこぼれ球に飛び込んだが、相手選手に後ろから押されてGKレイナと激突。惜しくも得点はならなかった。
同じ採点でもニュアンスが異なる英国メディア。
私はかつて日本のサッカー専門誌記者として採点してきた経験もあるが、日本のメディアとは異なり、イングランドの各紙の採点は上下に大きく分かれることがある。9点や8点(あるいは4点)はなかなか日本ではお目にかかれない数字だが、イングランドではしばしば目にする。日本では6点が純粋な「基準値」だが、リバプール戦の香川につけられた6点を日本流に「及第点」とは単純に解釈できず、同じ6点でも様々なニュアンスを含んでいる。それは前述の3紙の寸評の割れぶりでもご理解いただけるだろう。
ただここで強調したいのは、イングランドのメディア関係者がおおむね香川の復帰を高く評価し、そして今後に期待しているという事実である。
「自分のプレースタイルをもっと浸透させていく必要がある」
では香川自身は、この4試合のパフォーマンスをどう捉えているのだろうか。
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4試合中、本人に話を聞けたのはWBA戦、ウィガン戦、リバプール戦だったが「スタイル」という言葉が共通のキーワードとして浮かび上がる。
「(欠場中は)試合を外から観ることによって、一人ひとりの特徴や、ユナイテッドのスタイルを感じることが出来た。前線に、はっきりとした個性が揃っている。それに自分も乗っかって、自分のプレースタイルをもっと浸透させていく必要がある」(WBA戦後)
「自分のスタイルという意味では、孤立する場面であったり仲間との連係であったりといった部分が、まだまだ通じていない。そういうところをもっと課題として、練習から取り組んでいきたい」(リバプール戦後)
点取り屋としてもはや完成の域に達し、2季連続得点王に向けて邁進するロビン・ファンペルシ。シャドーとしてもセンターフォワードとしても天性の才能を見せつけるウェイン・ルーニー。ここ一番の嗅覚に優れたハンタータイプのハビエル・エルナンデス。屈強なフィジカルを生かしたプレーに定評があるダニー・ウェルベック。この4人のFWに割って入り、「自分自身は一番やりやすいと思っている」と語るトップ下の座を勝ち取るべく、自分のスタイルをチームに浸透させるための戦いは続く。