フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
石川遼、宮里藍らの“心”を読む……。
「やる」「観る」「読む」ゴルフの魅力。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byHochi Shimbun/AFLO
posted2013/01/03 08:00
三井住友VISA太平洋マスターズで、2年ぶりの優勝を果たし、号泣する石川遼。
宮里藍は筋力ではなく、強いメンタルでボールを飛ばす。
直径5cm足らずのボールを操るために、人の心は鋼のように強固にもなる。
「ゴルフをやめようか」と思い悩んだ暗く長いスランプを乗り越えて、宮里藍は日本人で初めて世界ランク1位に上りつめた。
パワーに頼らない唯一無二のゴルフスタイルを築き上げた宮里は、トレーニング法も独特だ。腕立て伏せは「今は3回ぐらいだったらできると思います」というレベル。パワーの最大出力を上げるのではなく、自分の持つ筋力をスイング時にフル稼働させられるよう、神経の伝達回路を鍛えることに重きを置く。
ヨガと“フェルデンクライス”という身体訓練メソッドを組み合わせ、負荷は重くて2kg。回数もせいぜい5回。1回のこともある。「(私のゴルフの)7割ぐらいを占めている」というブレないメンタルが、磨き上げた精緻な回路を正しく動かす。
ドライバーで40~50ヤード置いていかれてもスコアでは勝っている。柔よく剛を制すはゴルフの世界にもあるのだ。「こんなちっちゃな子でもナンバー1になれるんだとみんなが身近に思ってくれれば」という言葉は、宮里が言うからこそ心に響いた。
日本には「読むスポーツ」としてのゴルフ人口がどれくらいいるのか?
各種の統計を見ると、日本のゴルフ人口は約800~900万人。
これは、『Doスポーツ』としてゴルフをしている人の数である。
では、スペクテイタースポーツとして、『観るスポーツ』として楽しんでいる人はどれくらいいるのか。
今季の男女ツアーを合わせたギャラリー入場者数は約100万人。そこにテレビの視聴者を上乗せした数になりそうだ。
ではさらに、『読むスポーツ』としてゴルフを楽しんでいる人の数はどれくらいだろう。これはかなり少なくなってしまうはずだ。