REVERSE ANGLEBACK NUMBER
それでもJ1にはガンバが必要だ!
最終戦で気づいた“ゆるい”魅力。
text by
阿部珠樹Tamaki Abe
photograph byToshiya Kondo
posted2012/12/05 10:30
現代表の中心選手である遠藤、今野、さらにキャプテンには元代表の明神がプレーと豪華メンバーが揃うガンバ。だが、最後まで攻守のバランスを取ることはできなかった。
11月27日の東京新聞の朝刊を見ていたら、興味深い記事が載っていた。ジュビロ磐田の前田遼一にシーズン最初のゴールを奪われたチームはJ2に降格するというのだ。
2007年の甲府からはじまって去年の山形まで5年連続で初ゴールを奪われたチームは降格している。そして今シーズン前田が最初のゴールを決めたのは最終戦にJ2降格がかかるガンバ大阪だった。ガンバの最終戦の相手は、あろうことか前田のいるジュビロだ。
サッカーファンの間では有名なジンクスかもしれないが、こちらははじめて知って驚いてしまった。これは確かめないわけには行かない。
最終戦。結果はあらためて書くまでもない。ガンバはJリーグ発足以来はじめてのJ2転落が決まった。
この試合を決めたのも前田だといってよいだろう。ジュビロの先制点は相手DFがゴールの中に体を入れて辛うじてクリアしたボールを、よく詰めていた前田が右足に当てて押し込んだものだった。同点になってからの後半の決勝点は前田のアシストによるもの。1ゴール1アシストの活躍で、自らの「呪い」の正しさを示して見せたわけだ。
ガンバの奮闘に最後まで応えたジュビロの正々堂々。
ただ、試合は、そうしたオカルト的興味などと関係なく面白かった。
降格や昇格のかかる試合はたいてい白熱するものだが、この試合も最初から攻撃的なプレーがあちこちで見られ、きびしい攻防が繰り広げられた。その一方で汚いプレー、無用なラフプレーは少なかった。
審判もすばらしかった。よほどひどいプレーでなければファウルは取らず、ゲームの流れをよくすることに気を配り、スピーディーな展開を陰で演出し、サポーターを大いに沸かせた。
ジュビロのゲームに対する姿勢もすがすがしかった。
後半40分に勝ち越し点を奪ったあとも、相手陣内でじらすようにボールをキープすることなく、ゴールをねらうファイティングスピリットを見せて、必死に追いすがるガンバの奮闘に応えた。