REVERSE ANGLEBACK NUMBER
それでもJ1にはガンバが必要だ!
最終戦で気づいた“ゆるい”魅力。
text by
阿部珠樹Tamaki Abe
photograph byToshiya Kondo
posted2012/12/05 10:30
現代表の中心選手である遠藤、今野、さらにキャプテンには元代表の明神がプレーと豪華メンバーが揃うガンバ。だが、最後まで攻守のバランスを取ることはできなかった。
1発殴ると2発食らうガンバのほころびが降格を招いた。
もしチンタラしたボール回しで引き分けをねらったり、勝ち越したあとに逃げ切りを図っていたら、ガンバのサポーターからは相当な怒りを買っただろう。
降格が決まったあとのサポーターが、泣いたり罵声を浴びせたりする場面はあったものの、物々しい警備ほどには荒れなかったのも、ジュビロのフェアな試合ぶりが影響していた。
だが、なんといっても試合の熱を上げたのは、欠点も含めたガンバのプレーぶりだった。
今年のガンバはこの日も1点取ってリーグ最多得点を記録した。リーグで1番多くの点を取ったチームが降格してしまったのは前例を探すのがむずかしいようなレアケースだ。得失点の差もプラスだ。それでもシーズンで9勝しかできなかった。
当然守備に問題ありということになる。
点を取っても取られてしまう、1発殴ると2発食らうバランスの悪さが降格の原因だということは誰でもわかる。
個の能力が高い選手が揃っているのだが……ほころびてしまう。
この日も守りは安定感を欠いた。
勝たなければ降格という試合だから、全体に前がかりになって守備が少しおろそかになるということは試合前からある程度想像できた。もちろん自分たちもそれを警戒していただろう。だから開始直後などは思ったより手堅い試合運びだった。しかし、わずか5分で1点を奪われると、徐々に注意が散漫になる。個々の選手の能力は低くない。DFラインには代表の今野泰幸がいる。1対1の強さは十分だ。中盤には守備の感覚も鋭い遠藤保仁もいる。危機回避の察知力は高い。
にもかかわらず、ほころびてしまう。
人数をかけないわけではない。だが、連携が悪い。
最初の失点はともかく、決勝点は、左サイドを破られ、中央の前田にボールをつながれたときもまだ前田の周りに十分人はいた。ところが、激しいチャージをするでもなく、ほかの選手がフリーにならないか注意するでもない。漠然と眺める感じになり、前田に余裕たっぷりのパスを出されてしまった。