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強欲オーナーと解体セール。
~マーリンズの「悪癖」を憂う~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2012/12/03 10:30

強欲オーナーと解体セール。~マーリンズの「悪癖」を憂う~<Number Web> photograph by Getty Images

地元から大ブーイングを浴びているロリア。エキスポズ・オーナー時代にも球団売却の「前科」あり。

 黙って見逃そうかと思ったが、やはりひと言申し上げざるを得ない。

 今回が初めてならばともかく、この球団は常習犯なのだ。それも、深い考えがあってのことならいざ知らず、どう見ても目先の欲に衝き動かされているとしか思えない。

 マイアミ・マーリンズの「チーム解体セール」である。

 2012年11月中旬、マーリンズは、先発の柱であるジョシュ・ジョンソンとマーク・バーリー、そしてつい1年前に6年総額1億ドルを超える契約を結んだばかりのホゼ・レイエスを含む5選手を、トロント・ブルージェイズにトレードすると発表した。見返りはユネル・エスコバルとアデイニー・エチャバリアを含む数人の若手。だれが見ても、釣り合いの取れないトレードだ。

 が、マーリンズにしてみれば、年俸減らしの目的は十分に達成できたことになる。シーズン途中でハンリー・ラミレスを、10月にヒース・ベルを放出した動きを見れば当然の流れともいえそうだが、めちゃくちゃな投げ売りであることに変わりはない。

「補強→成功→解体」を繰り返すマーリンズの悪癖。

 たしかに、マーリンズの挫折感は大きかった。

 新球場を建設し、チーム名をフロリダ・マーリンズからマイアミ・マーリンズに変更し、さあ、久々にリーグ制覇の好機かと思いきや、今季のマーリンズはナ・リーグ東地区の最下位に沈んだ。新監督オジー・ギーエンの采配(というより気性)に疑問があったことは事実だが、ここまで惨憺たる成績に終わるとはだれも予想しなかったはずだ。

 しかし、過去を振り返ってみると、マーリンズは「補強→成功→解体」のパターンを悪癖のように繰り返している。

 エクスパンション(リーグ拡張)によってマーリンズがナ・リーグに加盟したのは、1993年のことだった。

 最初のオーナーは、〈ブロックバスター・ビデオ〉の経営者ウェイン・ハイジンガ。ハイジンガは、'93年から'96年にかけて、こつこつといい選手を集めた。外野手のゲイリー・シェフィールド、ジェフ・コーナイン、モイゼス・アルー。投手のロブ・ネン、ケヴィン・ブラウン、アル・ライター。捕手のチャールズ・ジョンソンや内野手のボビー・ボニーヤ。

 そして'97年、ワイルドカードでポストシーズンに進出したマーリンズは、新監督ジム・リーランドの好采配もあって、なんとワールドシリーズを制してしまうのだ。

【次ページ】 年俸の高騰を嫌い、主力選手を売り払うオーナーたち。

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