スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
強欲オーナーと解体セール。
~マーリンズの「悪癖」を憂う~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2012/12/03 10:30
地元から大ブーイングを浴びているロリア。エキスポズ・オーナー時代にも球団売却の「前科」あり。
選手を追い出す前に、強欲なオーナーが交代すべき!?
ということであれば、トレードで獲得した無名の若手が育つまでの数年間、マーリンズは雌伏の期間を過ごさなければならない。
しかも、若手の成長はけっして約束されているわけではない。彼らが鳴かず飛ばずに終わっても、ファンは辛抱できるのだろうか。新球場建設に5億ドル近い巨費を捻出したマイアミの自治体は不満を爆発させないのだろうか。わずかに残った主力選手たちはやる気を失わないのだろうか。
すべて、ありうる事態だ。
それでもロリアは、(アスレティックスやオリオールズのように)安い若手が育ってペナント争いに旋風を巻き起こすことを夢想しているにちがいない。しかし、どうだろうか。今回のファイア・セールは、あまりにも目先の利益にとらわれすぎている。つまり、補強→成功→解体ではなく、補強→解体という短絡的な行動なのだ。選手を追い出す前に、オーナーが交替したほうがよいと思うのだが。