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高地順化の成功で初戦勝利の日本。
低地のオランダ戦に新たな課題。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byNaoki Nakanishi/JMPA

posted2010/06/18 11:15

高地順化の成功で初戦勝利の日本。低地のオランダ戦に新たな課題。<Number Web> photograph by Naoki Nakanishi/JMPA

南アでのベースキャンプ地ジョージでウォームアップする日本代表。先頭には本田と長友

イングランド戦後半での失速は“想定内”だった!

 ザースフェーに入って最初の試合となったイングランド戦(5月30日)は後半に入って失速したが、岡田監督は“想定内”として問題視しなかった。

「あと(本大会までの)2週間でコンディションをもう一度山(ザースフェー)に戻って追い込んで、そしてコートジボワールと試合をして、いったん落として、(ピークに持っていくための)“小さな山”を作って初戦を迎えるという感じで、ちょうどいいんじゃないかと思います」

 イングランド戦翌日の31日に控え組の練習試合を行ない、6月1日は午前、午後の2部練習で追い込んだ。調整に手ごたえをつかんでいた一人に、コンディショニングを担当する早川直樹トレーナーもいた。

「ザースフェーに来て3日目に紅白戦をやったときは、選手もかなりきつそうでした。でも回復には多少の個人差もありますけど、だいぶ体が慣れてきたなという印象を受けています。監督の指示どおりにやっていけば大丈夫だと確信してます」

ジンバブエとの練習試合に隠されたもうひとつの目的。

 極端に練習の負荷を落とすことなくコートジボワール戦に臨んだ後、カメルーン戦の1週間前に標高約190mの南アフリカ・ジョージに移動したのである。10日にジンバブエとの練習試合を組んだのは連係の深化を図るためではあるが、「小さな山」をつくるコンディション調整の目的もあった。そして翌11日は急遽、完全オフにして、高地順化の疲労回復をまずもって優先したのだ。

 試合の3日前にオフを取るのは岡田ジャパンになって初めてのケース。この微妙なコンディション調整のさじ加減が、奏功する。12日に再び高地のブルームフォンテーンに入って練習した選手たちのコンディションを見て、指揮官は満足そうに口を開いたものだ。

「(高地は)全然問題ないんじゃないかな。コンディションもだいぶ良くなってきたし、高地だからといって今日も苦しそうな感じは全然なかったから。(オフがあって)だいぶ顔色も明るくなったから」

【次ページ】 初戦にピークを合わせた日本。この先はどうする?

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