南ア・ワールドカップ通信BACK NUMBER
あのオランダ戦の“過信”を武器に!
岡田ジャパン、ただ1つの勝機とは?
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/06/18 11:20
17日に行われたアルゼンチン対韓国戦は、ちょっとした衝撃だった。
ギリシャを相手に快勝を収め、意気揚々とアルゼンチンに挑んだ韓国が、まるで何もさせてもらえなかったからである。
アルゼンチンの攻撃をどうにか食い止めることはできた。だが、奪ったボールを攻撃につなげることはできなかった。次々に襲いかかってくるアルゼンチンの選手を前に、韓国の選手はボールをキープし切れず、また周囲の選手もパスコースを用意してあげられなかった。
結果、韓国は多くの時間で自陣に閉じ込められることになった。1本のゴールと1本の決定機が、彼らの反抗のほぼすべてだった。
「前半は十分やれた」という試合後コメントの違和感。
さて、次は日本の出番である。
日本が第2戦で対戦するオランダとは、昨年9月、敵地エンスヘーデで親善試合を行っている。結果は0対3。完敗だった。
だが試合後、選手の多くは時折笑みすら浮かべて、手応えを口にしたものだ。
曰く、「前半は十分やれた」。
曰く、「トップレベルの相手とやれて、感覚がつかめた」。
正直に言わせてもらえば、何だか気持ちが悪かった。
彼らの手応えがどれほどのものかは知らないが、負けたのである。しかも、0対3という大差で。にもかかわらず、あたかも「次は勝てる」とでも言わんばかりの雰囲気に、違和感を覚えずにいられなかった。
逆の立場になって考えてみればいい。
例えば、アジア予選でベトナムと対戦したとしよう。小柄ながら器用にボールを扱うベトナムに日本は手こずり、なかなかゴールが奪えない。そのうえ、中盤でパスをつながれ、冷や汗をかくくらいのシーンは作られた。それでも試合終盤、立て続けに得点を奪い、終わってみれば3対0――。こんな試合の後、「どんな相手でも油断はできないな」というくらいはともかく、「次に対戦したら危ない」とまで思うだろうか。
つまりは、そういうことだ。
前回オランダ戦での“過信”が裏目に出るのでは?
だからこそ、選手が口にした手応えには、自信というより過信に近いものを感じた。昨年12月の組み合わせ抽選でオランダとの再戦が決まったとき、真っ先に頭に浮かんだのは「あの手応えが裏目に出なければいいが……」だった。
しかし、それから半年、日本代表が置かれている状況は大きく変わった。
恐らく日本は、昨年の対戦時のように、前線からのプレスや徹底したショートパスでオランダに挑むことはない。カメルーン戦同様、まずは実質4バック+3ボランチの陣形でオランダの攻撃を受け止めることになる。というより、今の日本にはそうやって戦うよりほか、術がない。