日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
高地順化の成功で初戦勝利の日本。
低地のオランダ戦に新たな課題。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoki Nakanishi/JMPA
posted2010/06/18 11:15
南アでのベースキャンプ地ジョージでウォームアップする日本代表。先頭には本田と長友
「向こう(カメルーン)は高地対策がうまくいっていないんじゃないかと思いました。逆に僕たちのコンディションがよかったのはいい準備ができていたからだと思う」
終盤から出場して、パワープレーに出たカメルーンを抑えた稲本潤一はミックスゾーンで“準備の差”を強調した。
岡田ジャパンがブルームフォンテーンで凱歌をあげることができたのは、走力においてカメルーンと明らかな差があったからだ。
FIFAが面白いデータを公表していた。“走行距離”の平均がカメルーンの7.354kmに対して日本が7.853kmと500m多く、日本がいかに走っていたか分かる。
この試合で岡田ジャパンが走った総距離は前半が53.572kmで後半が56.368kmだったという。前半より後半のほうがよく走っており、ガス欠になってもいない。終盤に入っても集中力を切らすことなく虎の子の1点を守り切ることができたのは、いいコンディションで試合を迎えられたからであろう。
カメルーン戦に備えたスイス合宿での緻密な調整。
南アフリカのほぼ中央に位置するブルームフォンテーンは1400mの高地。岡田ジャパンは高地対策として、事前合宿地を標高1800mのスイス・ザースフェーに選び、11日間かけて高地順化を図った。これが結果的に実った。
岡田武史監督は高地対策について、こう話していた。
「ほとんどの会場は1500mぐらい。僕もそれぐらいの高さで何回か試合したことがあるけど、それほど気にならない。だから(南ア入りする前の)事前キャンプをある程度の高さのところでやれればいい。逆に南アに入ってベースキャンプをあんまり高いところにしてしまうと、今度は疲労が回復しなくなる。事前キャンプをある程度高いところでやっておけば、十分じゃないかなと僕は思っている」
指揮官はスタッフに高地順化の専門家を呼び、ザースフェーでは選手の尿検査をほぼ毎日実施した。これはチーム全体としての疲労度などをチェックするためで、検査の結果を踏まえてトレーニングの負荷が微妙に調整されたのだ。