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F1発足60周年の今季も絶好調!
マクラーレンは最前線を走り続ける。
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/06/17 10:30
開幕時にあったレッドブルとの差を着実に詰めてきているマクラーレン。老舗チームの持つノウハウとは、シーズンが深まるにつれて発揮されるものなのだ
ハッキネンとしのぎを削ったシューマッハーが現役!
●48歳(1998年)
ドライバーズチャンピオン:M・ハッキネン(マクラーレン)
コンストラクターズチャンピオン:マクラーレン(メルセデス)
ハッキネンvs.シューマッハー時代の幕開け。エンジンは自然吸入式3リッター。レース中の給油OK! チャンピオンタイヤは前年F1に参戦して来た日本のブリヂストンで、グッドイヤーを撤退に追い込んだ。この年からタイヤは溝付き。前年まで猛威を奮いまくったウイリアムズ・ルノーは影も形もない(エンジンはメカクロームの名前で継続)。
●60歳(2010年)
もちろんドライバーズチャンピオンもコンストラクターズチャンピオンも決まっていないが、特筆すべきは12年前にチャンピオン争いをしたシューマッハーが戻って来たこと。途中空白期間があったとはいえ、驚くべき息の長さ。
もうタバコメーカーの支援はなく(フェラーリは特別)、スポンサーは通信機器、IT、金融などが主。エンジンは自然吸入式2.4リッターの8気筒。
給油禁止。
マクラーレンは12年ごとの節目に必ず成果を上げている
こうして12年周期でF1の歴史を区切ってみて感じたのは……あまりに網の目が粗過ぎて時代の象徴が抜け落ちてしまっていること。
たとえばフェラーリ。
1998年に敗者としてひっかかっただけで、彼らのチャンピオンイヤーと12年周期がシンクロしていない。なんとかこじつけができないかと42歳の厄年(1992年)を番外編として取り上げようとしたが、マンセルとウイリアムズ・ルノー圧勝の年で、フェラーリのコンストラクターズ・ランキングは大差の4位だった。この出目でいくと、おそらく今年もチャンピオン奪還は無理なのだろう。
そこへ行くと12年ごとにいつでも顔を出すマクラーレン(一巡目はマクラーレン本人)はたいしたもの。今年もチャンピオンの可能性は高い。そういえばこの6月2日がチーム創設者ブルース・マクラーレン没後40年の命日だった(1970年同日プライベートテスト中に事故死)。
落日のウイリアムズとは対照的な今季のマクラーレン。
と、ここまで書いたところでカナダGPがチェッカー。
なんとハミルトン、バトンのマクラーレン・コンビがアロンソ、レッドブル勢を撃破して今季3回目のワンツー・フィニッシュ! さすが名門というところをまざまざと見せつけた。ブルースの命日の霊験あらたか(!?)だったのか。
日の翳りつつあるフェラーリ、浮上のキッカケをつかめないもうひとつの老舗ウイリアムズとは対照的に、マクラーレンは上昇一途。F1発足100年を迎える2050年にもこのチームは健在だろう。
あ、その頃はあなたも筆者もアラハク……アラウンド白寿の年ですよ、ご同輩。