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F1発足60周年の今季も絶好調!
マクラーレンは最前線を走り続ける。
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/06/17 10:30
開幕時にあったレッドブルとの差を着実に詰めてきているマクラーレン。老舗チームの持つノウハウとは、シーズンが深まるにつれて発揮されるものなのだ
前回のこのコラムではフェラーリGP800戦に茶々を入れたが、数字関連でいくと今年はF1発足60周年だそうである。
60とはいえこれもまぁ10年区切りにするとちょうど60というだけで、50も70も変わりはしない。いや四半世紀というくらいだから75周年の方がナンボかキリがいいし、100ならもっといい。センチュリーだもの。
ただ、我々日本のファンにとって60と来ると還暦と結びついて、なんとなく親しみやすい数字だ。そう、昭和25年生まれ寅年の“F1”(およびF1ファン)は今年還暦。F1緒戦のイギリス・グランプリは5月13日だったから、この年この誕生日のF1ファンを鈴鹿に招待してフェラーリ同乗サーキットタクシーかなんかしてあげたらいいと思うが、FIAやFOMに「カンレ~キ!」なんていっても分からないだろうな。アラカンじゃなくて、ジャスト・カンレキなのだけどなぁ。
葉巻型、ポルシェ、1000馬力、タバコ会社……のF1史。
それはそうと、12年一巡りごとにF1はどんな様子だったのか、ちょっと調べてみた。
●12歳(1962年)
ドライバーズチャンピオン:G・ヒル(BRM)
コンストラクターズチャンピオン:BRM(BMWにあらず)
2位以下はJ・クラーク(ロータス)、B・マクラーレン(クーパー)、J・サーティース(ローラ)、D・ガーニー(ポルシェ)……と、往年の名ドライバーの名前が連なる。
50年代のファンジオ、アスカリは知らないけど、この年代のドライバーを知ることが“F1事始”になったというファンは多いのではないか。1.5リッター・エンジンを積んだナショナルカラーの葉巻型フォーミュラの時代。
シートベルトなんかしてなかった。
●24歳(1974年)
ドライバーズチャンピオン:E・フィッティパルディ(マクラーレン)
コンストラクターズチャンピオン:マクラーレン
エンジン排気量は12歳の時の2倍の3リッターになっている。ボディには12年前にはなかったウイングを生やし、タイヤはスリック。クラーク、マクラーレンはすでに亡く、サーティース、ガーニーは現役引退ながら、なんとG・ヒルは自分のチームを立ち上げオーナー監督兼ドライバーとして出走。
フィッティパルディの長くて濃いモミアゲが野性的だった。
●36歳(1986年)
ドライバーズチャンピオン:A・プロスト(マクラーレンTAGターボ)
コンストラクターズチャンピオン:ウイリアムズ(ホンダ・ターボ)
1.5リッター・ターボエンジンの全盛期でフルブーストをかけると1000馬力を発生した。
プロスト以下のランキングはマンセル(ウイリアムズ)、ピケ(ウイリアムズ)、セナ(ロータス)と、これが当時の“四天王”。12年前と共通なのは、マルボロ、JPSなどタバコメーカーがF1を支えていたこと。IT関連や金融系はまだメジャーになってなかった。
バブル時代の幕開けでもあった。