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関塚ジャパンの“献身的な王様”、
清武はA代表で遠慮を捨てられるか? 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byKaoru Watanabe/JMPA

posted2012/08/14 10:31

関塚ジャパンの“献身的な王様”、清武はA代表で遠慮を捨てられるか?<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

韓国に敗れた直後は、ピッチに横たわり天を仰いだ清武。試合後のコメントでは、「五輪でゴールを決めたかったけど、チームのために必死にやったし、悔いはない」と晴れやかな表情を見せた。

東慶悟が語る、清武の“ピッチ上での責任感”。

 清武のプレーで人々の印象に強く残っているのは準々決勝のエジプト戦であろうか。一度奪われたボールを全速力で追いかけていき、奪い返してから前線にパスを送って永井のゴールにつなげている。周りも泥臭い王様に触発されるように、集中力の途切れない試合を続けた。

 大分トリニータのU-18、トップチームで清武と一緒にプレーしてきた東慶悟は1つ年上の“先輩”について以前、こう話していた。

「技術がずば抜けているタイプの選手って、どうしても(守備が)サボリがちになるイメージってあるじゃないですか。でも弘嗣クンは守備からしっかりやろうとするし、ピッチでの責任感が強い。学ぶべきところは多いし、僕にとっての目標と言っていい」

 準決勝のメキシコ戦も清武を中心にした攻撃でいいリズムを生み出していた。永井謙佑とのパス交換から清武自身がチームのファーストシュートを放った場面や、サイドを崩してからメキシコのゴールを脅かせた場面もあった。しかし連戦の疲れもあって一人ひとりの反応が鈍くなり、メキシコに1-3で力負けしてしまう。結果的には完敗ではあったが、メキシコの強さばかりが目立った試合でもなかった。

スペイン戦、“強引なシュート”で伝えようとしたメッセージ。

 清武のプレーで筆者が特筆したいのはスペイン戦である。

 相手が1人少なくなり、1-0でリードして“押せ押せ”の時間帯。彼は強引にでもシュートを狙っていった。力みが目立ち、シュートに急ぎすぎた。おそらくいつもの清武であればゴールの確率を考えてパスの選択もあったはず。らしくないと思った人は多かっただろう。筆者もそう思う反面、一方で清武らしいなとも思えた。

 スペイン、おそるるに足らず――。

 味方の背中を押すような、そんなメッセージに見えたからだ。独りよがりなシュートでなかったことは、他の選手のやる気に満ちた表情を見ても明らかだった。ちょっと強引にでもシュートを打って、味方にスイッチを入れようとした清武の思いを、チームは理解していたように見えた。追加点は奪えなかったものの、最後までアグレッシブに戦った結果があの勝利を呼んだのである。

【次ページ】 韓国戦後に見せた、何とも言えない「いい表情」。

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