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首位打者が1割しか打てなくなった!?
交流戦における投打の後遺症を検証。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/06/25 12:20
交流戦前の内川の打率は3割2分4厘。リーグ戦に戻ってわずかに復活の兆しを見せているが、6月24日現在で2割7分2厘となっている。
交流戦で躓いた、ソフトバンク・内川と西武・栗山。
だが、打者はそうはいかない。
昨年、交流戦後に著しく巻き返しを図れた選手はいなかった。
それどころか、交流戦前に打率上位10傑に入っていた阪神の新井貴浩、ロッテの今江敏晃、日本ハムの稲葉篤紀は、この期間に打率を大幅に落とした結果、3人ともシーズン打率2割6分台と、最後まで打撃を立て直すことができなかった。チームとしても阪神はAクラスに届かず、日本ハムは優勝を逃し、ロッテは最下位となった。
そして今年は、打率3割の常連であるソフトバンクの内川聖一と西武の栗山巧が、ともに1割9分8厘と交流戦の魔物に憑りつかれ、シーズン序盤の勢いを持続させることができなかった。前述の3選手のケースから察すれば、このままだとふたりも後半戦の雲行きが怪しい。そう思われても仕方がない。
スランプの原因は、対戦投手のデータ不足なのか?
巧打者が一変してスランプに陥ってしまう原因としてひとつ言えるとすれば、それは投手のデータが少ないことだ。
交流戦前に公式ホームページで発表された各チームの監督のコメントで、阪神の和田豊監督は次のように語っていた。
「リーグ戦ではデータというものがすごく重要視され、うまく使える選手がいい成績を残している。しかし交流戦となると、感性でプレーする選手がいい成績を残している」
両リーグの投手の違いを述べるとすれば、一般的にセ・リーグは変化球中心で、パ・リーグだと勝負球にストレートが多い、と言われている。確かにそういう側面もあるが、厳密には違う。内川は横浜に在籍していた当時、こんなことを言っていた。
「それはよく耳にしますけど、選手レベルだとあまり感じたことがないですね。パ・リーグの先発には速いボールを投げるピッチャーが多いから、そう思うだけじゃないですか。実際は杉内(俊哉)さん(当時ソフトバンク)のスライダーのように、空振りを取れる絶対的なウイニングショットで勝負してきますよね」