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<ナンバーW杯傑作選/'95年8月掲載> 加茂周 「若手よ、みんな伸びてこい!」 ~代表監督就任後の独占インタビュー~ 

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小林達彦

小林達彦Tatsuhiko Kobayashi

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photograph byHatsuhiko Okada

posted2010/05/12 10:30

<ナンバーW杯傑作選/'95年8月掲載> 加茂周 「若手よ、みんな伸びてこい!」 ~代表監督就任後の独占インタビュー~<Number Web> photograph by Hatsuhiko Okada

日本はまだアジアの強豪7~8カ国のひとつに過ぎない。

「新顔の選手が代表の最低のレベルに達して、ベテランと対等に競ったときに、初めて資格ができるんです。そこから伸びなかったら、すぐ次のやつが追い越して入ってくるわけですから。だから、いまは現状の日本代表のレベルで選んでいるけど、このレベルがもっと上に行かないと日本はアジアでチャンピオンにはなれない」

――そうですね。

「アジアの各チームよりちょっと一歩上に出て、確実に勝てないと。それが続けば、ワールドカップに出場して、予選も考えながら戦って、ベスト8に入ろうとか、ベスト4に入ろうとかいう準備ができるんですよ。いまはアジアの中で、日本はファーストクラスにはたぶんいるけれども、その7、8チームの中の一つです。抜けてないんですよ。抜けないと、ワールドカップに、よしんば出場してもまあ予選リーグで敗退して帰ってくるだけです」

――アジアの中で八つのうちの一つだということであれば、そこから抜け出す方策をいま、Jリーグを含めてやってるわけですね。

「と思いますよ」

W杯出場枠は、アジアから3カ国と増えるが……。

――代表の監督をしていて、Jリーグの効果を感じますか。

「感じますね。ただね、急には底上げはできないと思うんです。この状態からもう一歩抜け出すには、素質のある若い選手がググッとみんな伸びてこないと、もう1ランク上は狙えないと思いますよ」

――そうか。レベルが上がったとはいえ、まだ3年目だし。そうですよね。

「むしろ警戒しなきゃいけないのは、中東諸国の力が伸びてきていること。ここのところ鳴りをひそめてるイランとかイラクも、もともとレベルの高い国ですし。で、またややこしいのが出てきましたよ、北のほうから旧ソ連の国々が」

――これがまた悩みのタネですね。

「ウズベキスタンなんかアジア大会で一発目で優勝しちゃったんだもの」

――次のW杯はアジアから3カ国出場と決まりましたが、よく考えたら枠が一つ増えたって喜んでる場合じゃないんですね。

「正直いって、ここ2年とか3年で変わる問題じゃないですけど、アジアは東西に広すぎますよ。中東と極東では時差が6時間もあるんですよ。遠征したときのハンディはヨーロッパ諸国に比べると大きいんです。だから、時差の関係、それから宗教の問題、いろんなことを考えたら、インドを境ぐらいにして分けたらいいんですけど」

――オーストラリア、ニュージーランドも予選に入ってきますね。

「オーストラリア、ニュージーランドのほうがわれわれにとってはずっといいんですよ、時差が少なくて。だけど、いま現在の代表の監督がそんなこと言ってもしょうがないですから」

【次ページ】 一流国との差を肌で感じた英国遠征。

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