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<ナンバーW杯傑作選/'95年8月掲載> 加茂周 「若手よ、みんな伸びてこい!」 ~代表監督就任後の独占インタビュー~
text by
小林達彦Tatsuhiko Kobayashi
photograph byHatsuhiko Okada
posted2010/05/12 10:30
日本代表候補は、実質的にはわずか40人たらず。
――今回、ラモスをまた選んだのはどういうふうに理解したらいいんですか。
「ラモスを使うことによって、代表が攻めの面でワンランク・アップできないかと期待しているんです。彼には一度、ベストコンディションで試合をやらせてみたいなと思っていますし。とにかくベストを尽くしてほしいということです。周囲は、あと2年もつかどうかということをずいぶん心配してるけど、これは年齢ではなく、あくまでもコンディショニングの問題と考えています」
――ところでインターナショナル・チャレンジ大会ではラモスがいなくても、いい形で攻めることができたと思うんですが。
「そうは思ってないよ。残念ながらまだ、ラモスがいないときの攻撃パターンを十分選手に飲み込ませて理解させるだけの時間はなかった。守備に関してはある程度、選手も理解したし、やれるようになってきてると思うんですけどね」
――そうすると、いまチームづくりで一番、ここは何とかならないかなと思ってる部分というのはあるんですか。
「いや、まだまだ全体的なものですよ、やっぱり」
――まだ全体ですか。
「いまJリーグ14チームでしょう。その14チームでレギュラーポジションを持ってる選手は約150人ぐらいでしょう。そのうち40人ぐらいは外国人なんですよ。日本人は100人ちょっとなんですよね。その中で年齢的にピークを過ぎていて、伸びる要素もないという人が三分の一ぐらいなんですよね。もう三分の一は、試合には出てるけど、素質あるいは経験の面で代表までは上がってこられそうもない選手です。だから、残りの三分の一というとだいたい35~40人ぐらいしかいない」
将来性は見ない。あくまでもいま現在、何ができるか。
――その中で代表を選ぶわけですか。
「そうです。だから、だいたい自分で把握してるのが30~40人ぐらいの選手。それを試合で見て、調子の上がってきている選手と落ちてきている選手を入れ替えていくだけの話ですから」
――なるほど。
「自分では気に入った選手がいるわけですよ、いろんなチームに。でも試合に出てくれないとどうしようもないですよ。出ても15分とか10分とか、ときどき出るということじゃ、やっぱり代表に選べないんですから」
――そういう意中の選手というのは結構いるんですか。
「いますよ、何人かはね」
――話は横道にそれるんですけど、加茂さんが新しい「素材」を見つけるときに、何かポイントってあるんですか。
「代表の監督になるとクラブチームの監督と違って、将来性を見ることはしません。あくまでもいま現在何ができるかですよ」
――そうですか。