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記者はもっと大局を見よ!
浦和・ペトロビッチ監督のメディア論。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byMasahiro Ura

posted2012/05/21 10:30

記者はもっと大局を見よ!浦和・ペトロビッチ監督のメディア論。<Number Web> photograph by Masahiro Ura

声を張り上げ、選手に指示を送る浦和レッズのミハイロ・ペトロビッチ監督。サンフレッチェ時代の2007年にJ2降格も経験したが、翌年、勝点100を積み上げて1年でJ1復帰を果たした。

監督の構想、未来像、哲学の“質”にもっと注目すべき。

 もちろんペトロビッチ監督とて、すべての監督に時間を与えるべきと主張しているわけではない。「指導者が何を目指して、何をやろうとしているのかを見るべき」と語ったように、構想、未来像、哲学の“質”をテーマにしているのだ。

 身長の高いFWを置いたり、とことんカウンターを狙ったりして、“とにかくJリーグで勝つというサッカー”を目指すのも、選択肢のひとつとしてある。だが、あまりにも日本国内での勝利を優先しすぎると、もしかしたらそれ以上の存在にはなれないかもしれない。ACLを勝ち上がり、さらにクラブワールドカップで上を目指すには、もっともっと「何をやるのか」にこだわるのが近道なのではないだろうか。

 ビジネスの世界では「短時間で作ったものは壊れやすいが、長い時間をかけて築いたものは壊れづらい」という経験則があるそうだ。おそらくそれはサッカーのチーム作りにおいても当てはまる。

日本には欧州のリーグに無い魅力を生みだす余地がある。

 皮肉なことに、ヨーロッパはサッカーの歴史が長いため、もはや監督がメディアに対して「ひとつの勝ち負けで判断するな」と訴えても、ほとんど聞き入れられない。多くの人にとってサッカーは最大の娯楽であり、街のプライドを背負った戦いでもあるからだ。

 だが、幸い日本はそこまで生活に入り込んでないため、逆にじっくりと質を見極めるような“ゆとり”があるように思う。

 ペトロビッチ監督の言葉は、ヨーロッパでは非常識に受け取られるだろう。しかし日本ならば、常識にできる可能性がある。

 勝敗以外の論点ができれば、さらにサッカーを見る楽しみが増える。質の見極めの追求は、ヨーロッパのリーグにはない魅力にもつながるはずだ。

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