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パ・リーグ首位争いで必見の2人!!
ロッテ・荻野貴と西武・田中の期待度。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/05/07 10:30

パ・リーグ首位争いで必見の2人!!ロッテ・荻野貴と西武・田中の期待度。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ルーキー雄星の「影武者」と呼ばれていた田中靖洋は、待望の先発で3回4失点。「初回は力んでしまった。いい雰囲気の中で自分の力が発揮できなかったので悔しい」と肩を落とすも、渡辺監督は及第点を与えていた

 ロッテの新人、荻野貴司(外野手)の俊足が評判だ。しかし、実際はどのくらい速いのかよく伝わってこないので、ストップウオッチによる実戦測定で荻野の足の速さを紹介しようと思う。

 西武対ロッテのパ・リーグ首位攻防戦を見たのは4月28、29の両日。28日は出掛けに野暮用があり西武ドームに着いたのが6時ちょうどなので、荻野の第1打席は通路を歩きながら見た。

 座席で見ていないのでストップウオッチを押すタイミングが普段と違っていたかもしれないが、荻野がキャッチャーゴロを打った瞬間から一塁に到達するまでに要したタイムは3.57秒だった。ちなみに、筆者は俊足の基準を「一塁到達4.29秒未満、二塁到達8.29秒未満、三塁到達12.29秒未満」と決めている。これをタイムクリアすれば俊足、逆に「一塁到達5秒以上、二塁到達9秒以上、三塁到達13秒以上」要すればアンチタイムクリアとして、数字を赤ペンで丸く囲い、ノートに保存している。

 これまでの一塁到達最高タイムは'09年4月7日に行われたロッテ戦の第3打席、日本ハムの糸井嘉男がバント安打を決めたときの3.54秒で、荻野の3.57秒はそれに次ぐ記録である。ただ、糸井が一塁到達に有利な左打者、荻野が逆に一塁到達に不利な右打者であることを考えれば、荻野の脚力が糸井を上回っているとも言える。

三塁到達史上最速記録を達成した荻野の脚力。

 トヨタ自動車時代の荻野にも言及すると、'08年11月に途轍もない俊足を見せている。京セラドーム大阪で行われた日本選手権2回戦のNTT西日本戦の第4打席、荻野は三塁打を記録し、このときの三塁到達が11.01秒。この時点では正真正銘、プロ・アマ含めた史上最速記録だった。

 この空前の三塁到達記録を4月29日の西武戦で、荻野は破った。第1打席で左中間を破る三塁打を放ち、このときの三塁到達が11.00秒だった。アマチュアでは、ともに左打者の荒波翔(トヨタ自動車)が10.95秒、佐藤弘典(富士大3年)が10.98秒を記録しているが、プロの世界で荻野を上回る選手は今のところ見たことがない。

 11.50秒をクリアすることさえ至難の業で、今年に入って右、左打者に関係なくこの関門を突破しているのは、アマチュアの田中隼人(立正大11.35秒)と川端崇義(JR東日本11.41秒)の2人だけである。荻野の脚力の凄さが実感できると思う。

 29日の西武対ロッテ戦(デーゲーム)を高校野球春季地区大会の誘惑を断ち切ってまで見に行ったのは、実は荻野を見たかったからではない。西武の先発が田中靖洋だと予告されていたからである。

【次ページ】 西武期待の本格派右腕、田中靖洋の実力とは?

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