日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
国内組の「3-4-3合宿」で見えた、
ザックが目指す日本代表の理想型。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAFLO
posted2012/04/28 08:02
6月からはじまるW杯最終予選の3連戦(6月3日vs.オマーン、6月8日vs.ヨルダン、6月12日vs.オーストラリア)に向け、新戦力の発掘に余念がないザッケローニ監督。
国内組の競争意識が代表チームの活性化につながる。
国内の底上げこそが、最終予選突破のカギを握ってくる。
今回の合宿は指揮官たっての願いで実現に至った。2月のウズベキスタン戦は海外組のコンディションにバラツキがあったことが苦戦の要因。6月のブラジルW杯アジア地区最終予選3連戦(対オマーン、ヨルダン、オーストラリア)では海外組は時期的にオフということもあり、2月に続いて再びコンディションの問題が出てくる可能性もある。シーズン途中でコンディションも上がっている国内組のほうが計算も立ちやすいだけに、指揮官は国内組の台頭を期待しているフシがある。
遠藤は言う。
「海外組のコンディションが悪いときには国内組がしっかりとやって、監督が安心して任せられるようなレベルまで持って行ければいいと思う。国内組がしっかり土台を築いていって、(レベルを)上げていければいい」
酒井たちU-23組の台頭もあれば、高橋たち新戦力の参加もあって全体的には競争意識が伝わってくるような合宿になった。「(代表に残っていけるか)常に危機意識を持っている」という槙野智章にとっても「Jリーグのなかで活躍している若い選手や五輪の選手が入ってきて、一緒にやれるというのは代表チームの活性化にもつながる」と新たな刺激になったようだった。
「4-2-3-1」に磨きをかけるための「3-4-3」。
内容自体は3-4-3の習得に特化した合宿ではあった。しかしながら指揮官の狙いは奥深いところにもあったはずである。
昨年6月、キリンカップの2試合で3-4-3を試しておきながら、2カ月後の韓国戦では4-2-3-1に戻してライバル相手に快勝している。方針転換というわけではなく、つまり「サイド攻略」「コンパクト」「縦への意識」など3-4-3のキーワードは従来のシステムを磨き上げる訓練にもつながっているということ。混乱に近い状況のなかから選手が応用してゴールに結びつけたというのも、プレッシャーのかかる最終予選のシチュエーションを考えれば、いい訓練になっていた。
国内組に奮起を促して底上げを図るとともに、適応力、応用力を見るための“3-4-3合宿”。ザッケローニにとって意義深い3日間となったことは間違いない。