自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
もっとオシャレしても良いかも!?
自転車ツーキニストの服装を考える。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/02/22 06:00
なんといっても自転車ツーキニストの一番の問題は「汗」だ。服装もそれを基準に考えざるを得ない。頭に流れる汗を拭うためのタオルなども必携
思い起こせば……青春の学生服はえらかった!
しかし、今から思うに、中高時代の学生服というヤツは、丈夫だったなぁ。
私の場合、中学も高校も詰め襟の例のアレだった。あの姿で毎日自転車で学校まで通っていたが、あのズボンはケツもヒザも何ともなかったもの。
素材で言えば、ウールとポリエステルの混紡。“カシドス”とかいう織り方で、あの風合いが出るそうな。毎日着てて平気、中高時代のあんなにラフな扱いにもかかわらず損傷ほぼなし。大人になった今となっては信じがたい耐久性だ。
ついでに言うと、当時私が乗っていたのは「カマキリもどき」というべき自転車だった。
カマキリっても、昆虫のカマキリじゃないよ。ジュニアスポーツ車のブームの直後に、ブリヂストンが放った大ヒット自転車だ。あれは格好良かったなぁ。シンプルで、泥ヨケなんてなくて、過剰なほどに上に伸びたハンドルが、当時、ものすごくシャレて見えたもんだ。
【カマキリはこちら。自転車文化センター】
http://www.cycle-info.bpaj.or.jp/japanese/history/kodomo/kodomo_17.htm
で、私が乗ってたのは、一見ブリヂストン製に見える、何とかいうメーカーの紛い物だったってわけ。
本当にニセモノ、マガイモノが大量に出回るほど、あの自転車は流行った。で、高校生はそのサドルにドッカリと座り(だって、カマキリって今の“シンプル・ママチャリ”の元祖だもの)、それでもケツ部分は日々何ともなかったんだから、学生服、恐るべしだな。
現代の若衆たちは自転車フレンドリーな普段着を愛用。
しかしだね、学生服で思い出すんだけど、今の若い連中は何だか最初からファッションが自転車フレンドリーなんだよね。
ストリート系というのか、ヒップホップ系というのか、何つーか、45歳のヒキタにはワカランのだが、あの半ズボンな感じが自転車に似合ってる。
でね、以前ならばそういう連中は、どこか薄汚れ感というか、やさぐれ感があったもんだが、今はない。むしろ爽やかですらある。
私が感心するのは、昨今のメッセンジャーたちのファッショナブルさだ。今風のイケメンたちが多くて、なおかつシンプルで、アスリート感があって、インデペンデントな感じ。
なんかいささか誉めすぎな気もするが、そうでもない。彼らのおかげで、確実に現在のストリートはクールになった。
【ヒキタのイメージはこんな感じ。“narifuri”の例】
http://www.narifuri.com/ja/style11fw.html
知り合いの雑誌編集者によると、都内の、特に渋谷・表参道・青山辺りで走る若者たちの自転車ファッションは、相当に洗練されてきたそうだ。
「本当に、最近はアウトドア・ファッションを取り入れたストリートファッションが流行りで(ヒキタ註:なるほど)、自転車ともシームレスで合うんでしょうね。メッセンジャーバッグも世界的に流行ったりして、今までは自転車なんかとは無縁だったラルフ・ローレン、プラダ、ルイ・ヴィトン、シャネル、エルメスまでがメッセンジャーバッグをモチーフにしたバッグを作ってるくらいですから」という。
シャネルやエルメスがメッセンジャーバッグねぇ。
でも、そういう時代なのだ。
日本の将来、はたまた欧米を含めた従来の先進国を経済指標ほか、色々な数値で占うと、どうにも明るい未来は描き難いけど、こういうところにそうじゃない萌芽が見えていると思う。
未来は明るい。我々は持続可能な未来を、もしかしたら生きることができるかもしれない。