自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
もっとオシャレしても良いかも!?
自転車ツーキニストの服装を考える。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/02/22 06:00
なんといっても自転車ツーキニストの一番の問題は「汗」だ。服装もそれを基準に考えざるを得ない。頭に流れる汗を拭うためのタオルなども必携
このところの自転車ブームで、都内の幹線道路にはドロップハンドルの自転車がバンバン行き交うようになった。特に週末ともなると「いかにも」という連中が集団で通り過ぎていく。
ロードバイクに乗った5人程度が一列にならび、先頭にベテラン、最後尾にもベテランをつけ(フォームを見れば、自転車の練度は一目瞭然)キメキメの自転車スタイルで、疾走していく。
大抵、その中の一人が女性である。
私はそれを慶賀慶賀などと思いながら眺めているわけだが、そうだなぁ、もう随分、こうしたロードバイクスタイルも、一般に見慣れてきたような気がするね。
あのウルトラマンのようなアイウェア、ハデハデ&ピチピチのジャージに、言わずと知れた“もっこりスパッツ”(レーサーパンツ)……。以前はコンビニなどに入るのが、少々はばかられたものだ。このスタイルに加えて、エイリアンのようなヘルメットを小脇に携え、メトロン星人のようなシューズをカチャカチャ言わせながら(もちろんビンディングのクリート音です)店に入っていくんだから。
人によっては「ハレンチな格好」などと失礼な指摘をする人もいた。が、あまり反論しにくかった。
ところが、昨今だ。
このスタイルでコンビニに入ったところで、ちっともギョッとされない。「あ、自転車趣味の人ね」という一瞥のみ。それを寂しく思うのは、いささか変わった趣味をお持ちの方々だけであって(基本的にそんな人はいません)、普通に言うなら、自転車乗りが生きやすい社会になったよ。
色々とメリット・デメリットもあるわけだが、「ブームの良さ」というのはこういうところにある。この日本という社会にあって、一般化というものは、市民権奪取とほぼ同義なのだ。
自転車乗りはもっとファッションを考える必要があるのかも……。
ただ、いつもいつもレーパン&ジャージに代表される格好をしてはいられないわけで、時と場合に応じ、季節と天気に応じ、ウィークデイとウィークエンドに応じ、自転車ファッションは変わってくるのである。
今回は、そのあたりをちょっと考えてみようと思う。
でもま、最初に言っておくと「洋服屋」といえば、行くのはもっぱらユニクロオンリーの私ヒキタである。ゆめゆめ私に「服飾センス」のようなものを求めてはならない。
それを知った上で……、しかし考えてみれば自転車ファッションというものは、クルマにとってのボンネットやら、ドアやら、つまりは表の鉄板にあたるわけだよなぁ。
安全にも直結する(かもしれない)し、乗り手自身のモテっぷりにも直結する(かもしれない)。
周囲から見て、クルマならば中にいるドライバーの姿形はほぼ見えない。クルマという物体一発で「あのクルマ、格好いい!」の賞賛が得られるだろう。
だが、自転車の場合は違う。乗り手のファッションも含めて「あの自転車(乗り)格好いい!」あるいは「格好悪い!」となるわけだ。
つまり我々自転車乗りは、クルマのドライバー以上にファッションにコダワラねばならないのだ。
これは好むと好まざるとに関わらず、本気でそうなのである。