自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
もっとオシャレしても良いかも!?
自転車ツーキニストの服装を考える。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/02/22 06:00
なんといっても自転車ツーキニストの一番の問題は「汗」だ。服装もそれを基準に考えざるを得ない。頭に流れる汗を拭うためのタオルなども必携
レーパン&ジャージ……王道のスタイルを再考。
ということで最初にあげるのは、もちろん走り屋の王道スタイル、レーパン&ジャージである。
自転車をスポーツとして捉える、つまり、速さを求め、走行距離を求めるならば、スタイルはコレしかあり得ない。動きやすく、汗や体温を発散しやすく、ウィンドブレーカーと併用すると雨などの際には身体を暖めてもくれ、身体を保護してくれる。
あらゆるスポーツには「最適のユニフォーム」というものがあるわけで、それを着用することこそ、上達の第一歩とも言える。
と、これは50歳にしてロードバイクの道に入り、今もその道を文字通り驀進中のカリスマ、高千穂遙先生が常に仰っていることで、先生は、その言葉の通り、常にレーパンジャージである。
体脂肪率が一桁(!)にもかかわらず、冬場は(寒いだろうに)レーパンが長ズボンになるだけだ。その長ズボンの横っちょに、星マークが散っている。まるで全盛期の西城秀樹「ヤングマン」である。
ま、それはいい。
とにかくレーパン&ジャージという姿は、自転車乗りにとって、確かに合理的ではある。このレーパンというヤツは、股間から尻にかけて分厚い(なおかつ高級な)パッド(クッション)が入っていて、あの堅い堅いロードのサドルに対抗している。ケツが痛くならない。ハイテクな座布団が括り付けられた凄いパンツなわけだ。
ついでに言うと、レーパンの下にはパンツ(下着の方の)を履いてはならない(とされる)。ペダルを踏んでいるウチに縫い目などがよれて、股ズレを起こしたりする(とされる)からだ。
だからレーパン、誰もが直肌で履く。つまりあのレーパンは単にもっこりなだけでなく、構造的に言っても、本当に下着その物なのだ。その有り様を見てハレンチだと言う人もいる。言わない人もいる。ま、一言でいって余計なお世話だ。
しかし、女性には若干の抵抗があるようで、人によっては、ミニスカートのような巻き布をレーパンの周りに巻いたりしている。私はオシャレだと思う。可愛らしい。
なぜ自転車の上着“チームジャージ”は派手派手なのか?
ま、ね。上着であるジャージ(チームジャージ)については、あの派手派手な色使いを避ければ、そんなに抵抗はないかもしれない。
軽く、通気性がよく、運動を妨げず、背中の丈が長く、その下(腰あたり)にちょっとしたもの(補給食、いや、街乗りなら財布や携帯など)を入れるポケットが付いている。
でも、なぜか常にド派手なのだ。
その理由はたぶん“ツール・ド・フランス”をはじめとする自転車レースで、勝者に贈られるジャージがみな派手派手だからだろう。
総合トップのマイヨ・ジョーヌ(真っ黄っ黄)、山岳賞のマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(白地に赤色大玉の水玉模様)、ポイント賞のマイヨ・ヴェール(ショッキング・グリーン)など、全部原色系。また、それぞれのチームジャージももちろん派手。これは企業の広告を兼ねているからかもしれぬ。いずれにせよ、最初は気恥ずかしい。だが、すぐに慣れる。慣れるまでに3日かからない。
いやまあ、レーパンにしてもジャージにしても、家に帰ったら、汗も吸ってるし、そのまま洗濯機に突っ込んで、洗うべし。で、干すと1時間で乾く。というか、脱水機から出した時点でほぼ乾いてる。
こういう部分も、レーパン&ジャージの隠れた美点だ。と、私は思う。