自転車ツーキニスト≠スーツで自転車通勤する人!!

　さて、その“スーツ通勤”のことである。

　昨今マスメディアで「自転車通勤する人のことを“自転車ツーキニスト”というそうです」「世は自転車通勤ブームです」なんてことが言われるようになって、その際に必ず登場するのが、スーツを着て自転車に乗る姿なのだ。特に雑誌。しかも春からGWにかけての特集で多い。

　見た目で分かりやすいからね。「自転車」で「通勤」！　ならばスーツ姿に決まっとる。編集長が編集部員にそう言う様子が目に浮かぶようだ。

　スーツ姿のまま、ロードバイクに跨って、キメキメのサングラスをかけ、リュックを背負い、片足を着いて、東京都心のどこかの交差点で摩天楼を見上げてる。そんな写真。

　見たことがある人も多いはずだ。

　無理だって（笑）。

　そのままの姿で自転車通勤しようものなら、5kmを過ぎたあたりで汗だく、グショグショ、ワイシャツはよれよれ、スラックスはくたくた、おまけにケツが擦れて、なんだかフェルト状になったりする。さらには、右側の裾が汚れるんだよ。チェーンホイールとチェーンに触れて黒くなってしまう。

　だからして、スーツ族の自転車ツーキニストは、必ずスーツは会社のロッカー、ワイシャツなどは背中のリュックの中ということに落ち着く。それでいいのだ。

ビジネスの戦闘服をまとえ！　“ネオ・スーツ”は成功するか？

　……と思っていたら、最近、そのスーツのままで自転車に乗れる、という自転車用のスーツが続々リリースされている。

　スポーツ系のブランドだけじゃない。なだたるスーツ・ブランドからもちらほら製品が出そろってきた。紳士服業界2位のAOKIが作ったのにはさすがに驚いたが、それぞれ次のような特徴を持っている。

・速乾性……汗が乾きやすい
・通気性……布地自体、空気を通しやすい
・エアインテーク……ところどころにファスナーが仕込んであって、開けると風が通って涼しい
・伸縮性……伸びる素材を使っていることが多い
・丈夫……素材が丈夫、科学繊維系が多い

　というような感じか。

【AOKIの自転車通勤スーツ】
http://www.eshop.aoki-style.com/products/detail.php?product_id=3455

【ザ・スーツカンパニーの場合はこう】
http://blog.uktsc.com/tsc-onlineshop/7487

　しかしね、正直申し上げて私はそんなに売れるかな？　と、思ってる。その心意気や良しだけど、スーツでスポーツ自転車という発想自体が、どうも矛盾しているような気がするのだ。

　それよりも「ビジネス＝スーツ」の慣習をなくす方が先ではないか、とね。ハワイにとってのアロハのように、沖縄にとってのかりゆしのように。そもそもこんな高温多湿の国で、常にネクタイ着用、スーツを着込んでる、なんて間違ってるよ。

　この数年、クールビズの世の中である。自転車通勤スタイルも「自転車通勤ビズ（？）」のスタイルを編み出せばいい。

　なーんて、常にジーンズのTVプロデューサーは思ったりする。すまぬすまぬ。

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