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爛熟プーホルスと新興ダルビッシュ。
~ア・リーグ西地区の注目新対決~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byAP/AFLO

posted2011/12/30 10:31

爛熟プーホルスと新興ダルビッシュ。~ア・リーグ西地区の注目新対決~<Number Web> photograph by AP/AFLO

超大型契約を結び、エンジェルス入りしたプーホルス

歴史に残る強打者の多くも寄る年波に勝てなかった……。

 10年という長期契約が結ばれたところを見ると、エンジェルスのスカウトは彼の選手寿命が長いと予測したにちがいない。たしかに、'11年ポストシーズンの活躍を見るかぎり、プーホルスの力はまだまだ衰えていないようだ。

 しかし、故障に苦しめられた'11年のレギュラーシーズンを振り返ると、一抹の不安が残ることも否めない。

 もうひとつの不安材料は、歴史だ。

 先にも述べたが、34歳以降のマントルは明らかに衰退した。他の名選手も、晩年はけっこう苦しい。ジミー・フォックスは32歳、ルー・ゲーリッグは34歳、フランク・ロビンソンは35歳、ケン・グリフィー・ジュニアも35歳までしか活躍できなかった。メイズやハンク・アーロン(彼は39歳までパワーを維持した)といった数少ない例外を除いて、パワーヒッターがいつまでも強打者でいることはむずかしい。しかも、ステロイドの使用はもはや論外となった。

強い克己心は選手寿命を延ばす上での武器になる。

 正直なところ、プーホルスの未来は読みにくい。彼は、ドミニカの極貧家庭に育った。ハイスクールを卒業したあとは、ドラフトでまったく声がかからなかった。大学を出たときでさえ、13巡目まで指名を待たなければならなかった。年齢詐称(実際はもっと年上だといわれたのだ)の噂も絶えなかった。

 いいかえれば、プーホルスはさまざまな逆境にさらされ、それらをことごとく乗り越えてきた。顔を見ればわかるが、彼は相当に自制心が強そうだし、「執念」に近い粘着力も感じさせる。もうひとつ、彼の打法には打球を右中間に飛ばせるインサイドアウトの基本がしっかり刻み込まれている。つまり、プーホルスは力任せのプルヒッターではない。

 この2点は、選手寿命を延ばす上で大きな力になる。急激な衰えから身を守る強い武器にもなると思う。願望を込めていうなら、そうでなくては面白くない。爛熟期に入りつつあるプーホルスと昇り龍ダルビッシュの対決がア・リーグ西地区の目玉になるなら、'12年の大リーグはかなり熱を帯びるはずだ。

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